第1回 はじめに

PICマイコン電子工作入門の基礎編です。第1回目は全体像を説明します。

目次

マイコン電子工作にトライしてみよう!

最近、ネットや雑誌を見ていると、個人でもかなり完成度の高いモノづくりをしてますよね。

そのような作品を見ていると、多くが電子工作で何かを動かしたり、光らせたりしています。そういうサイトの説明を見ていると「マイコンはこれこれを使って…」などという内容を見かけたことがあるのではないでしょうか。

「マイコン」っていろいろなことができそうですが、そもそも「マイコン」って何ものなんでしょうか。マイコン使うと何ができるのでしょうか。

この「PICマイコン電子工作入門」では、マイコンの中でもよく使われている「PICマイコン」というものを使って、実際にモノづくりをしながらマイコンを使った電子工作を説明していきます。そもそもマイコンとは何か、という内容も記事で説明しますので、「マイコン」という言葉しか聞いたことがなくても大丈夫です。

「マイコン」って言葉ぐらいは聞いたことがあるし、電子工作でいろいろできるみたいなんだけど、どこから調べていけばいいんだろう、という方を対象に、このシリーズでは実際に一緒に作品を作りながらマイコンを使った電子工作の基本的なところを説明していきます。

なお、記事ではプログラム開発にMacを使用していますが、WindowsやLinuxでも同様な操作で進めることができます。

PICマイコン電子工作入門の概要

かなり前になりますが、2013年に「MacでPICマイコン電子工作入門」というシリーズ記事を書きました。

その記事の中で使用しているマイコンはMicrochip Technology社の「PIC12F683」というものです(今は社名とか型番とか細かいことはわからなくて大丈夫です!)。これはかなり昔に発売されたマイコンですが、これより新しいタイプのマイコンより値段が高くなってしまっています。

そこで、新しいマイコンを使って、新しいシリーズ記事を書くことにしました。前回の入門シリーズでは基本的な機能の説明しかしていませんでしたが、マイコンはいろいろな機能を持っていますので、マイコンの使い方を一通りカバーできるように記事内容を追加していきます。

ただ説明内容がかなり多くなりますので、シリーズ記事は3編に分けて、以下のような内容で新しく「PICマイコン電子工作入門」を書いていきます。

基礎編

基礎編では、PIC12F1822という小型マイコンを使用して、LED、スイッチ、ブザーを制御するタイマーを製作します。

実際にキッチンタイマーに使えます。アイデア次第ではいろいろと面白い機能を追加できると思いますよ。

応用編

応用編では、基礎編で製作したタイマーに部品・機能を追加しながら、マイコンが持つさまざまな機能の制御方法を身につけます。

具体的にはADC・EEPROM・PWM・割り込み処理・タッチセンサの制御方法を身につけます(当然ながら今は言葉の意味はわからなくても大丈夫です!)

実践編

実践編では、PIC16F18857という高機能マイコンを利用して、天気予報装置を製作します。

身につける技術としては、I2C通信・SPI通信といった、他のマイコンやセンサーなどとデータ通信をする方法です。

一部の部品で半田付けが必要になりますので、本格的な電子工作も習得することができます。

予算

ところで結構気になるかもしれませんが、この入門シリーズで電子工作をするために必要な予算を見積もってみました。

まず基礎編と応用編を合わせた予算です。MacかWindowsかLinuxを持っていて、それ以外は電子工作に関するものは何も持っていない、という場合、予算は約20,000円です。ちょっと高い気がしますが、この費用の中には、今後ずっと使えるツールも含まれています。また、材料の中には、配線をするための電線や電子部品のまとめ買いも入っています。毎回何かをつくる度にこんなに金額がかかるわけではありませんのでご安心ください。

次に実践編では材料を追加購入しますが、予算は2,500円程度になります。内訳は、液晶ディスプレイモジュールが約500円、温湿度・気圧センサーが約1,500円、マイコンが230円、大型のブレッドボードが300円です。

また実践編ではハンダ付けが必要になりますが、ハンダ付けの道具を持っていないという方は、ハンダゴテなどを購入する必要があります。ハンダゴテが約5,000円、半田が500円〜1,000円、半田ゴテ台が500円〜1,000円程度です。だいたい6,000円〜7,000円ぐらいでしょうか。

C言語の習得

マイコンのプログラミングではC言語を使用しますが、このシリーズではC言語自体の説明はしていません。

現時点でまったくプログラミングの知識がない、という場合はぜひ先にプログラミングの基礎を身につけることをおすすめします。最近はわかりやすいC言語入門の書籍がありますので習得にそれほど時間はかからないと思います。

また、このサイトの記事紹介になりますが、「Arduinoプログラミング入門」というシリーズを用意しています。基本的なC言語の知識が習得できるような内容ですので、よろしければご覧いただければと思います。

C言語でプログラムが書けるようになると、他のプログラミング言語の習得も早くなりますので、さらにいろいろなツールを身につけることができて、さらにできることが広がります!

ところで、基礎編と応用編で必要なC言語の知識はそれほど多くありません。以下の項目をおさえておけばOKです。

  • コメントの書き方
  • #define、#include
  • 関数
  • 変数型宣言、変数代入、演算子
  • 構造体
  • 繰り返し構文(while文、for文)
  • 条件判断構文(if文、switch文)
  • 2進数、16進数

複雑なC言語の使い方は必要ありませんし、多くの人がつまづく「ポインタ」はこのシリーズ記事では出てきませんのでご安心ください。

ある程度のC言語の知識があれば、あるいはある程度勉強できたら、ちょっとわからないことがあっても思い切ってマイコンを使った電子工作の世界に飛び込んでみましょう!習うより慣れろ、です。

更新履歴

日付内容
2016.5.29新規投稿
2018.10.23誤記訂正
2022.1.31価格情報更新
2023.9.19価格情報更新・デザイン見直し
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キャップ
キャップ
6 年 前

claynets様
半年くらい前は、質問に答えていただきありがとうございました。
お陰様で少しずつ知識を増やすことができ、Raspberry Pi、Arduinoの使い方を覚え、次はPICマイコンに挑戦してみます。
claynets様のPICマイコン電子工作入門がとても参考になりそうです。
貴重な記事ありがとうございます。

管理者
管理者
返信  キャップ
6 年 前

キャップさま、
RaspberryPiやArduinoが使えるようになってくると、マイコンに挑戦したくなりますよね。何か実用的なものを作る場合、特にRaspberryPiは価格も高いですし、消費電力の制御も難しいので、作るものが限られることもあります。マイコンが使えるようになると、価格は高くても数百円ですし、消費電力の制御も細かくできますし、サイズも小さいものがありますので、作れるものの自由度がかなり高くなります。

PICマイコン入門シリーズは、今年は実践編まで書く予定です。何かわからないことがありましたらご質問いただければと思います。

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