MacでEAGLE!プリント基板製作入門(2)

早速EAGLEの概要を説明します!

目次

今回の説明

前回の最後に「こういう感じで説明を進めます」と説明項目を書きましたが、早速順序変更です。というのは、EAGLEの概要説明のところで、どんなアプリなのか感触をつかんで頂くために、EAGLE付属のサンプルを開いてみようと思います。ただサンプルを開くにはEAGLEが必要、ということで、EAGLE概要説明の中でインストールを行います。前回書いた説明順序ですと、EAGLEのインストールは後の方だったんです。ということで「EAGLEのインストール」を最初に持ってきました。

今回の説明項目は「EAGLEの概要」の始めの説明です。

  • EAGLE概要
    EAGLEでできることを説明します。説明だけではつまらないのでサンプルプロジェクトを触ってみてどんな感じなのか実感してもらおうと思います。またEAGLEにはいくつかライセンス形態がありますので、それらについても説明します。サンプルを見るためEAGLEのインストールも行います。
  • 作成する回路
    この入門記事で作成するプリント基板の回路を説明します。回路は「MacでPICマイコン電子工作入門」で作成したものをベースにします。プリント基板にするときに元の回路を少し変更しますので、その背景などを説明します。
  • プリント基板を発注するまでの作業流れ
    EAGLEをインストールしてから最後にプリント基板を発注するまでのおおまかな作業の流れを説明します。この項目のあとの説明は、作業の流れに沿って説明していくことになりますので、全体像をつかんでいただければと思います。
  • 回路図作成
    EAGLEを使って回路図を作成します。回路は簡単ですが、必要となりそうな手順などいろいろ盛り込んで説明したいと思います。
  • プリント基板パターン作成
    EAGLEでは「ボード」と呼んでいる、プリント基板のバターンを作成します。記事の中で詳しく説明しますが、EAGLEは無償でありながら自動配線機能を持っています。もちろん手動配線も可能です。このセクションでは、自動配線と手動配線の両方の手順でプリント基板のパターンを作成してみたいと思います。なお、複雑な回路になると自動配線で100%配線できないため、自動配線後、手動で手直しする方法なども説明します。また、プリント基板作成を業者に発注する場合、特有の注意点などもありますので、それらも合わせて説明します。
  • プリント基板製造
    この入門記事で作成したプリント基板を実際に業者に発注してみます。発注してから届くまで3〜4週間かかりますので、発注後、記事更新が遅くなりますがご了承ください。

EAGLEでできること

EAGLEでできることは大きく2つあります。ひとつは電子回路図を作成すること、もうひとつは作成した電子回路に基づくプリント基板のパターン図を作成することです。なお、EAGLEではプリント基板のパターン図を「ボード図」と呼んでいます。以降、説明の中では「ボード図」という用語を使います。

詳細な操作手順などはこの後のエントリで詳しく説明しますが、まずは雰囲気をつかんで頂くためにどんな画面で操作するのか説明します。回路図を作成するには、EAGLEを立ち上げて電子回路図を作成するダイアログを開きます。以下は、電子回路図を作図した例です。

Eagle schematic sample

なんだか左側にツールボタンがたくさん並んでいますよね。このツールを使いながら上のように電子回路図を作成していきます。電子回路図を描いたら、次にこの電子回路図に対応するボード図を作成するダイアログを開きます。次の図はボード図作成ダイアログの一例です。

Eagle board sample

このダイアログも電子回路図作成ダイアログと同じように左側にツールボタンがたくさん並んでいます。ただ回路図とボード図では当然ですが作図するものが異なりますので、ツールボタンも一部異なっています。

ここまで、電子回路図を描いてからボード図を作成する、という順番で説明しました。イメージとしては電子回路図を描き終わってからボード図を作成する、という理解をされてしまったかもしれません。でも実際には電子回路図を作成して、ボード図を作成している途中で「あらら、ここにコンデンサ忘れてたわ」なんてこともありえます。このような状況に対応するため、EAGLEでは電子回路図ダイアログとボード図ダイアログを同時に開いておけば、電子回路図を編集(部品の追加・変更・削除)をすれば、すぐにボード図に反映されるようになっています。このあたりも体験できるようにする予定です。

なおこの入門編ではプリント基板製造業者にプリント基板を発注して実際にプリント基板を製造してみる予定です。プリント基板製造業者に頼むには、電子回路図の作成、ボード図の作成後、もう一手間必要となります。というのは、上で作成した電子回路図とボード図を保存しても、保存したファイルはあくまでEAGLEで開けるファイルフォーマットです。中にはこのフォーマットを受け付ける製造業者もいますが、一般的にはEAGLEのフォーマットでは受け付けてくれません。どうするかというと、ボード図まで作成が終わったら、そのボード図を元に「ガーバーデータ(Gerber Data)」というプリント基板製造のために必要なファイルに変換します。なんだか難しそうですが、実際の変換はとても簡単です。これも後の説明手順の中で詳しく説明します。また依頼するプリント基板製造業者によっては注意点などありますので、そのあたりもできるだけ詳しく説明します。

EAGLEの製品

EAGLEといってもアプリケーションのライセンスは複数あります。個人で使用する場合は無償版で十分です。以下ライセンスと2014年4月現在の価格をまとめておきます。この入門編で使用するライセンスは一番上のものです。

製品 主な制限 価格
EAGLE Free版 商用利用禁止。基板は2層までで大きさは最大100mm x 80mm。 無料
EAGLE Hobbyist 商用利用禁止。基板は6層までで大きさは最大160mm x 100mm。 US$169
EAGLE Light 商用利用可能。基板は2層までで大きさは最大100mm x 80mm。 US$69
EAGLE Standard 商用利用可能。基板は6層までで大きさは最大160mm x 100mm。 US$820(1ユーザ)
EAGLE Professional 商用利用可能。基板は16層までで大きさは最大4000mm x 4000mm(4メートル四方って…)。 US$1640(1ユーザ)

なお上記ライセンスは主要なもので、これら以外にも、複数ユーザ向けの価格設定や電子回路図作成のみのバージョンなど様々なライセンス形態があります。

EAGLEのインストール

次回のエントリでは実際にEAGLEを立ち上げて、サンプルを開いてみます。ということでEAGLEをインストールしておきましょう。

EAGLEのインストールですが、以前このブログで説明をしていますので、お手数ですが以下の記事を参照いただければと思います。スクリーンショットなど大きな変更はありませんので、この手順でインストールできると思います。

CadSoft EAGLE for Macintoshのインストール

次回は実際にEAGLEを立ち上げて、付属のサンプルを見てみます。さらにちょっとだけ操作してみましょう。

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