今回は、この入門シリーズで製作するために使用する電子部品を説明します。
回路組み立てに必要な部品
前回の道具類の説明に続き、回路の組み立てに必要な電子部品類を説明します。
各部品画像の下に参考購入先のリンクをつけておきましたので参考にしてみてください。価格は注記がないものは2024年7月時点のものです。
ブレッドボード 300円程度 (秋月電子通商/マルツパーツ館)
「ブレッドボード」と呼ばれるものに電子部品を挿して回路を組み立てます。ブレッドボードはいろいろなサイズがありますが、30列かそれ以上あるものを購入してください。
以下の画像を見ると、数字が並んでいますが、1から30まで並んでいますよね。これが30列のものです。
基礎編と応用編で製作するものは30列で足ります。実践編ではこの倍ぐらいの列数のものを使用します。このブレッドボードの中身がどのようになっていて、どう使うかは次回の記事で詳しく説明します。
ブレッドボード BB-801(秋月電子通商)
ブレッドボード(マルツパーツ館)
PIC12F1822-I/P 200円程度 (秋月電子通商)
これがPICマイコンです。作成したプログラムをこのマイコンに書き込み、動作させます。
LED (10個入りまたは5個入りで100円〜300円程度 / 秋月電子通商)
電池などを接続して電圧を加えると光る部品です。
LEDは普通の電球と異なり、そのまま電池につなぐことはできませんので注意が必要です。なお以下ではまとめ買いのLEDをご紹介していますが、バラ売りで買う場合は、壊した時のことも考慮して複数個購入するようにしてください。LEDの使い方は後ほどの記事で詳しく説明します。
LED外観は以下のような感じです。
このタイプのLEDは大きさが何種類かあり、商品説明を見ると「3mm」などの記載があります。
このサイズ表記は、以下の画像部分の幅(直径)を意味しています。3mmと5mmが一般的で、8mmやもっと大きいものもあります。
以下に5mmのものをご紹介しておきます(3mmのものを購入されても問題ありません)。好きな色を購入します。
白: 高輝度5mm白色LED (5個入り/100円)
電球色: 5mmウォームホワイト・キャンドル色LED(5個入り/120円)
赤: 高輝度5mm赤色LED (10個入り/180円)
緑: 超高輝度5mm緑色LED (10個入り/200円)
青: 高輝度5mm青色LED (10個入り/200円)
黄: 高輝度5mm黄色LED (10個入り/100円)
オレンジ: 5mmオレンジLED (10個入り/150円)
ピンク: 超高輝度5mmピンク色LED (10個入り/250円)
抵抗 (100本入り100円 x 2種類 = 200円程度 / 秋月電子通商)
330Ω(オーム)と10kΩの2種類を用意します。それぞれの用途は製作の時に詳しく説明します。(画像は10kΩ)
330オーム: カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/4W 330Ω (100本入)
10kオーム: カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/4W 10kΩ (100本入)
1本単位でも購入できますが、バラで購入する場合1本5円〜10円しますので、まとめて購入したほうがお得です。100本入りはその下の画像のような感じです。
コンデンサ (10個入り100円程度 / 秋月電子通商)
0.1μF(「マイクロファラッド」と読みます)のセラミックコンデンサを用意します。この部品の働きについては製作の時に詳しく説明します。
また、基礎編と応用編で最終的に製作するタイマーで使用するコンデンサは1個ですが、この部品はいろいろなところで使用しますので複数個購入するとよいでしょう。
絶縁ラジアルリード型積層セラミックコンデンサー0.1μF 50V 2.54mm (10個入)
タクトスイッチ 3個 30円程度 (秋月電子通商)
マイコンに指示を与えるための部品として、以下の画像のようなタクトスイッチというものを使用します。
タクトスイッチは基礎編で1個、応用編で追加で2個使用します。用途ですが、基礎編で使用する1個はタイマーをスタートさせるためのものです。応用編で使用する2個は、タイマー時間を設定するスイッチです。
タクトスイッチには色が何種類かありますので、「タイマースタート」のスイッチ、「タイマー時間を長くする」スイッチ、「タイマー時間を短くする」スイッチ用に色を分けた方がいいかもしれません。
例えばスタートスイッチは青、タイマー時間を長くするスイッチは白、短くするスイッチは黒、など自分のイメージに合う色を揃えてみてください。
なお「タクトスイッチ」は登録商標で、一般名称は「タクティールスイッチ」です。どちらも同じ機構のスイッチです。
購入するタクトスイッチですが、以下の大きさのものを購入してください。これより大きいタクトスイッチもありますが、大きい場合、ブレッドボードに設置するスペースがなくなってしまいます。
タクトスイッチ (水色)
タクトスイッチ (赤色)
タクトスイッチ (黒色)
タクトスイッチ (白色)
タクトスイッチ (緑色)
タクトスイッチ (黄色)
タクトスイッチ (オレンジ色)
タクトスイッチ (茶色)
タクトスイッチ (濃い赤色)
ピンヘッダ 100円程度 (秋月電子通商)
プログラムをPICマイコンに書き込むとき、PICKitというツールを使います。PICKitをブレッドボードに接続するために使用します。
6ピン使用しますので、この1列x40ピンのものを折って使います。
電池ボックス 200円程度 (秋月電子通商)
3本用か4本用の電池ボックスを購入します。製作した回路を動作させるために使用します。
使用する電池の種類によって購入する電池ボックスが変わってきますので注意してください。
「使い捨ての電池」の場合は3本用を購入します。「充電可能な電池」を使用する場合は4本用を購入します。
この理由ですが、同じ単三電池でも、使い捨ての電池と充電可能な電池では電圧は違うからなんです。
使い捨て電池は約1.5V、充電可能な電池は約1.25Vとなっています。今回の回路は約5Vで動作させますので、普通の電池でしたら、1.5V x 3本 = 4.5V、充電可能な電池でしたら、1.25V x 4本 = 5Vとなります。1.5V電池で4本つなげると6Vとなり、PICマイコンが壊れる可能性もあります。
また、電池ボックスにスイッチが付いていると便利ですので、できればスイッチ付きのものを購入します。
3本用: 電池ボックス 単3×3本 リード線・フタ・スイッチ付
4本用: 電池ボックス 単3×4本 リード線・フタ・スイッチ付
ブザー 100円程度 (秋月電子通商)
ブザーを購入する際、注意点があります。
ブザーには電池をつなげるだけで鳴るものと、鳴らすための制御が必要なブザーがあります。
商品名としては、電池をつなげるだけで鳴るブザーは「電子ブザー」と書かれています。似たような部品に「圧電スピーカー」などと「スピーカー」という名前が付いているものがありますが、このタイプは鳴らすための回路が必要になりますので注意してください。
購入するものは「電子ブザー」です。「圧電ブザー」「圧電スピーカー」は音が出ませんので注意してください。
なお電子ブザーには、以下のように配線のための長い線がでているものと、短い線のものがあります。
どちらでも構いませんが、線が短いタイプは以下のようにブレッドボードに直接挿すことができます(この入門シリーズでは線が短いタイプを使用します)。
ただし、直径が大きいものを購入するとブレッドボード上で場所をとってしまいますので、直径は15mm以下を目安に購入してください。画像のブザーは直径13mmのブザーです。
なお、線が長いタイプのブザーは以下のように使用しますので、ブザー本体の大きさは特に注意する必要はありません。
ということでいろいろと制約があるので、購入できるブザーはかなり限られてしまいます。以下のリンクを参考に購入するものを決めてみてください。
どれでもいいんだけど、、、って感じでしたら一番上のブザーをお勧めします。
電子ブザーPB04-SE12HPR(線が短いタイプ)
電子ブザー UGCM1205XP(線が短いタイプ)
12V大音響ブザーPB10-Z338R(線が長いタイプ)
電池 110円 (100円ショップ)
使い捨ての電池の場合は100円ショップで十分です。
充電池をお持ちの場合は手持ちのものを使うほうが経済的ですね。先ほど説明した購入する電池ボックスの種類に注意してください。
ブレッドボード配線用電線 700円程度 (秋月電子通商/マルツパーツ館)
ブレッドボードでは、電子部品を挿して回路を組み立てますが、電子部品同士を接続するために配線用電線が必要となります。単線の0.5mmか0.65mmを購入します。ここで紹介する例は0.65mmを使用しています。(なお単線とは別に「より線」というものがありますので購入する際ご注意ください)
耐熱通信機器用ビニル電線 2m x 10色 外径0.65mm 単芯(秋月電子通商)
SHW電線(単線)0.65mm 2m(±2%)×10色(マルツパーツ館)
以上が必要な電子部品です。
プログラムをPICマイコンに書き込むための道具
WindowsやMacintoshで開発したプログラムは、PICマイコンに書き込む必要があります。ブログラムを書き込むには専用の機材が必要になります。
いくつか種類があるのですが、2024年時点では選択肢として「PICkit5」「MPLAB SNAP」という製品があります。
次のような外観で、左がPICkit4ですが、PICkit5はほとんど同じ外観です。右はMPLAB SNAPです。市場価格は2024年7月時点で、PICkit5が約18,000円、MPLAB SNAPが約8,000円です。
(当然ながら)PICkit5の方が高機能ですが、ホビーユースとしてこの価格はちょっと高すぎるかな、と思っています。
一方で、MPLAB SNAPはホビーユースとしては十分な機能を持っていますので、MPLAB SNAPの入手で問題ないと思います。
一番気になる点は、MPLAB SNAPではプログラムの書き込みができないマイコンがあることです。ただ、一般的に入手できるPICマイコンのほとんどはMPLAB SNAPで書き込みできますので、大きな懸念ではないです。
購入する場合は、店舗によって価格差がありますので、購入される前に何店舗かの販売価格を調べてみてください。
PICマイコン書き込み機器として「PICkit3」「PICkit4」という製品があります。これらの製品は2024年時点でまだ入手できるところもありますが、注意が必要です。
- PICkit3について
PICマイコンの開発ツール「MPLABX IDE」では、Version 6.20をもって「PICkit3」の対応を終了することが発表されています。今後は新しいPICマイコンへの書き込みなどができなくなると思われますので、この製品は避けた方がよいです。 - PICkit4について
PICkit4は当面現役で使えると思いますが、発売は2018年3月です。後継のPICkit5の発売は2023年11月で、5年以上差があります。一方でPICkit4とPICkit5の価格はそれほど違いはありませんので、現在ではPICkit4を選択する理由はなく、PICkitを入手される場合は「PICkit5」をお勧めします。(かなり高価ですが…)
プログラムを作るために必要な道具
PICマイコンのプログラムを開発するには、MPLABX IDEという開発ソフトウエアが必要となりますが、これは無償で提供されています。この後の記事で詳しく説明します。
買い物リストまとめ
それでは、前回説明した工具類と今回説明した部品類の購入リストをまとめます。注意点としては、通販を利用する場合、送料がかかります。また購入金額が一定以上の場合は送料無料になりますので、いくつかの店舗を比較してみてください。
以下に、基礎編・応用編で製作に必要なものをリストとしてまとめます。
工具類 | 個数 | 価格 |
---|---|---|
ピンセット | 1 | 100円程度 |
ラジオペンチ | 1 | 100円程度 |
ニッパー | 1 | 800円〜1,000円程度 |
ワイヤーストリッパー | 1 | 1,800円程度 |
工具類の合計は、3,000円程度です。
電子部品類 | 必要個数 | 購入する個数 | 価格目安 |
---|---|---|---|
ブレッドボード | 1 | 1 | 300円 |
PIC12F1822 | 1 | 1 | 200円 |
LED | 2 | 10個程度買っておく | 300円 |
抵抗(330Ω) | 2 | 100本まとめ買い | 100円 |
抵抗(10kΩ) | 2 | 100本まとめ買い | 100円 |
セラミック コンデンサ (0.1uF) | 3 | 10個まとめ買い | 100円 |
タクトスイッチ | 3 | 3 | 50円 |
ピンヘッダ | 1 | 1 | 100円 |
電池ボックス | 1 | 1 | 200円 |
電子ブザー | 1 | 1 | 100円 |
ジャンパワイヤー | 1セット | 1セット | 700円 |
MPLAB SNAP | 1 | 1 | 8,000円 |
電池 | 3本または4本 | 3本または4本 | 100円 |
電子部品類の合計は、12,000円ぐらいでしょうか。工具類・部品類合計で15,000円ぐらいになります。
電子部品ショップに買いに行く?
ところで、秋葉原(東京)や日本橋(大阪)までの往復交通費がそれほどかからず、時間がとれるようでしたら部品ショップに買い物にいくのもよいと思いますよ。
私はよく秋葉原に電子部品を買いに行くのですが、部品屋さんもいろいろとあるのでいろいろと見て回ると楽しいです。
それでは次回から主要な部品の使い方を詳しく説明します。
更新履歴
日付 | 内容 |
---|---|
2016.6.12 | 新規投稿 |
2018.10.29 | 部品説明内容補足 PICkit4情報追加 |
2018.11.23 | 画像リンク修正 |
2019.5.18 | MPLAB SNAPの情報追加 |
2020.1.18 | PICkitの価格情報更新 |
2022.1.28 | PICkitの情報更新 |
2024.7.21 | 製品情報更新 |