今回はブザー回路を追加します。
今回の説明
回路を完成させるために以下の順序で説明しています。このエントリの説明は(6)「ベース回路にブザーを追加する」の電子回路設計の部分になります。
- LEDを電池と抵抗のみで光らせる回路を組み立てる
PICマイコンの回路を組み立てる前に、まずはブレッドボードに慣れておくことにします。電池、抵抗、LEDのみを使って、ブレッドポード上に回路を組んでLEDを光らせてみます。ここでは電池、抵抗、発光ダイオードの回路記号と回路図の説明をして、回路図からブレッドボードに組む方法を説明します。まずはブレッドボードに慣れましょう! - PICマイコンのベース回路を組む
はじめの一歩の回路は、LEDを1秒に1回光らせるだけの回路です。この回路をブレッドボードに組み立てます。 - プログラムを作る
LEDを1秒に1回光らせるプログラムを作成します。 - PICマイコンに書き込んで動作させる
作成したプログラムをPICマイコンに書き込んで動作させてみます。 - ベース回路にスイッチを追加する
LEDの点滅をスイッチで開始させるために、ベース回路にスイッチを追加します。これまではLEDを光らせる、という出力制御をしましたが、今度はPICマイコンで外部から信号を入力する方法を確認します。 - ベース回路にブザーを追加する
スタートスイッチ付きの、1秒に1回光らせる回路を作りましたので、ブザーを追加してタイマーとして完成させます。
使用するブザーの種類
一口に「ブザー」と言っても種類がいくつかあります。制御方法という観点では、電池をつなぐだけですぐに鳴るものと、音の信号を供給して鳴るものがあります。
例えば電池をつなぐだけで鳴るブザーは以下のようなものです。
また、信号を供給する必要があるブザーは以下のようなものです。
電池をつなぐだけでなるブザーは、「電子ブザー」や「発振回路内蔵ブザー」、「自励式ブザー」などと呼ばれています。
音の信号を供給する必要があるブザーは、「圧電スピーカ−」や「圧電ブザー」、「圧電サウンダー」「他励式ブザー」などと呼ばれています。
外見はよく似ているものもありますよね。電池をつなげば鳴る「電子ブザー」の構成は、「圧電スピーカー」+「信号を生成する回路」になっています。値段をみていただくと、似たような形なのに、電子ブザーの方が高いですよね。これは信号生成回路の分だと思います。
今回使用するブザーは「電子ブザー」です。「電子ブザー」の回路記号は以下になります。
回路図ではプラス側、マイナス側の表記がされていないこともありますが、ブザーにはプラス側、マイナス側がありますので、実際に回路を作るときには接続向きに注意してください。
ブザーにはどこかにプラス記号が書いてあります。ちょっとピンぼけで見づらいですがこんな感じです。
また、リード線もプラス側の方が長くなっています。
メカニカルブザーなどのように長いリード線がでているものは色で見分けます。赤がプラス、黒か青がマイナスになります。
電池とスイッチだけで鳴らせてみる
PICマイコンの回路を作る前に、一度、電池とスイッチでブザーを鳴らしてみましょう。
このブザーは電池に直接つなげば鳴りますので、回路は以下のようにします。
ちょうど電池ボックスにスイッチが付いていますので、電池ボックスのリード線とブザーを直接つなぐように組み立ててみます。言葉では分かりづらいと思いますので、以下にブレッドボードの組立て図を説明します。
この図では、ブレッドボードの上側の空いているスペースを利用して、ブザーのプラスのリード線をブレッドボードの20番の列に、マイナスのリード線を23番の列にセットしました。そこで、電池ボックスのプラスのリード線を20番、マイナスのリード線を23番の穴に差し込みます。
接続したら、電池ボックスのスイッチをONにします。電子ブザーは音程の調整ができませんので、ちょっと耳につく音が出たかもしれません。タイマーのブザーとしてはちょっと耳障りですので、基礎編の最後の方でチャレンジ課題として普通のフラーム音っぽい音に変更してみます。
回路図を作る
ブザーを鳴らすには、単に電池につなげばOK、ということがわかりました。
PICマイコンで制御するのも同様に簡単です。LEDを制御するとき、ピン(RA5)を LATA5=0; として0Vにしたり、LATA5=1; として5Vにしたりして点滅制御をしました。ブザーも同様に、ピンにブザーを接続して、ピンの出力を制御すれば鳴らすことができます。
今まで作った回路では、3番ピンが空いています。この3番ピンは入出力制御ができる「RA4」ピンになります。
ブザーはこのピンに接続することにします。電池でブザーを鳴らしたときは、電池のプラスとマイナスに(スイッチを介して)直接接続しましたよね。PICマイコンの場合も同様にピンに直接接続すればOKです。具体的には以下のようになります。
ブザーを追加した回路をまとめると以下のようになります。かなりいろいろと部品というか線が増えてきましたね。
ブレッドボードに回路を組み立てる
それでは今まで作ってきた回路にブザーを追加しましょう。
先ほどブザーと電池を接続した時は、ブレッドボードの空いているスペースを使いました。このスペースは応用編で部品を追加するスペースにします。ちょっと窮屈ですが、LEDとスイッチの間に無理やり詰め込むことにします。
ご参考にブザーを接続した画像をアップします。
それでは次回、一定時間経過したらブザーを鳴らすプログラムを作ります。
更新履歴
日付 | 内容 |
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日付 | 内容 |
2016.12.4 | 新規投稿 |
2018.11.24 | 回路図のPICkitコネクタを5ピン版に変更 |
tokiayuさま、はじまして。コメントいただきどうもありがとうございます!
圧電スピーカーですが、すみません、実はこのシリーズの元となる「MacでPICマイコン電子工作入門」で補足として記事を書いていて、こちらでは書いていませんでした。
お手数ですが、以下の記事をご参考にしていただければと思います。
http://tool-lab.com/make/macpic-startup-26-sup1/
前回のシリーズではPIC12F683というマイコンを使用していますが、プログラムの動作部分は変更の必要はないと思います。わからないようでしたらお手数ですがまたご質問いただければと思います。
ご返信ありがとうございます。
圧電スピーカーで音は鳴らすことができました。ただ、「何Hzの音を何秒鳴らす」ということができません。お時間のある時で構いませんので教えていただけませんでしょうか。
早速のご確認どうもありがとうございました。
音程と長さを指定する場合、出力ポートのHIGH/LOWを直接制御するより、PWM機能を使った方がよいと思います。PWM機能については応用編に解説していますでご確認いただければと思います。
自分で出力ポートを制御する場合は、例えば440Hzの音を3秒間鳴らす場合は以下のようにすればOKです。
・周期は1/440 = 約2727μ秒のパルスにする
・パルスは440*3 = 1320回繰り返す
周波数をf(Hz)、鳴らす時間をt(秒)とすると、
・周期は 1/f(秒)
・繰り返し回数はf * t (回)
になりますので、このような関数を作るとプログラムしやすくなると思います。
おかげで何とか鳴らせました。
PWM機能は自分にはまだ敷居が高いようなのでコツコツと勉強していきたいと思います。
ありがとうございました。
うまく動いたようでよかったです!
__delay_usを使用して制御すると、時間調整などが難しいので、ぜひPWM制御にも挑戦してみてください!
初めまして、最近PICに興味を持ち出したばかりの初心者です。できれば圧電スピーカーで鳴らす場合のことも知りたいです。