第12回 ベース回路の回路図を完成する

今回でベースの回路が完成します。

目次

今回の説明

回路を完成させるために以下の順序で説明しています。この記事は「(2) PICマイコンのベース回路を組む」の部分のうち、PICマイコンにプログラムを書き込むためのPICKIT3接続回路を作成するステップになります。

  1. LEDを電池と抵抗のみで光らせる回路を組み立てる
    PICマイコンの回路を組み立てる前に、まずはブレッドボードに慣れておくことにします。電池、抵抗、LEDのみを使って、ブレッドポード上に回路を組んでLEDを光らせてみます。ここでは電池、抵抗、LEDの回路記号と回路図の説明をして、回路図からブレッドボードに組む方法を説明します。まずはブレッドボードに慣れましょう!
  2. PICマイコンのベース回路を組む
    はじめの一歩の回路は、LEDを1秒に1回光らせるだけの回路です。この回路をブレッドボードに組み立てます。
  3. プログラムを作る
    LEDを1秒に1回光らせるプログラムを作成します。
  4. PICマイコンに書き込んで動作させる
    作成したプログラムをPICマイコンに書き込んで動作させてみます。
  5. ベース回路にスイッチを追加
    LEDの点滅をスイッチで開始させるために、ベース回路にスイッチを追加します。これまではLEDを光らせる、という出力制御をしましたが、今度はPICマイコンで外部から信号を入力する方法を確認します。
  6. ベース回路にブザーを追加
    スタートスイッチ付きの、1秒に1回光らせる回路を作りましたので、ブザーを追加してタイマーとして完成させます。

PICKitの接続方法

PICkitは複数種類の製品があることを説明しました。

「PICkit3」「PICkit4」「MPLAB SNAP」という3種類の製品がありますが、2022年1月時点では「PICKit3」が入手困難な状況です。

PICkit4は、PICkit3の後継製品として2018年3月に発売され、現在でも販売されています。

また「MPLAB SNAP」は入門用の新製品として2018年8月に発売され、現在も販売されています。

この入門シリーズの記事では当初、PICkit3を使用して説明していました。PICkit3を使用される方もいると思いますので、PICkit3の説明も一部残しておりますのでご了承ください。

なお、MPLAB SNAPはこのシリーズで説明している一部機能が使用できない状況です。現在、MPLAB SNAPにも対応したシリーズ記事の新規制作を検討しております。

ここでPICkitの主な製品の違いを説明しておきます。

PICkitはPC側に接続するUSB端子と、PICマイコンに接続するためのコネクタが装備されています。

PICkit3は以下のように、PICマイコン接続側のピンは6ピン、PC側接続のコネクタはUSB miniAタイプとなっています。

PICkit3特徴

PICkit4は以下のように、PICマイコン接続側のピンは8ピン、PC側接続のコネクタはUSB microBタイプとなっています。

PICkit4特徴

このように、PC側コネクタ、PICマイコン側コネクタに差分があります。

また他の差分としては、プログラムの書き込みスピードがあります。カタログ値では、PICkit4のプログラム書き込み速度はPICkit3の5倍程度となっています。

ということで、これから購入される場合は新製品のPICkit4をお勧めしますが、すでにPICkit3をお持ちの方は、特に理由がない限りPICkit3をそのままご使用いただくことをお勧めします。

他にも使い方によっては差分はいろいろありますが、普段使いの範囲ではこの程度の差になります。

ところで、コネクタのピン数が違うのは、使い方に直接影響がありそうなので気になりますよね。それではこの差分について、これから詳しく見ていきましょう。

上の画像で説明した通り、PICkit3のコネクタは6ピン、PICkit4は8ピンの構成となっています。これらのピンにはそれぞれ1〜6番(PICkit3)、1〜8番(PICkit4)の番号がついています。とはいっても番号は本体のどこにも書かれていません。

ちょっと話が逸れますが、第9回のPICマイコンのところで説明したように、PICマイコンのピンにも1〜8番の番号がついていて、1番ピンのところに丸いくぼみがありましたよね。

このようにマイコンやコネクタなど、ピンを多く持つ電子部品では、どれが1番ピンかわかるように何らかの印がついています。その印は丸や三角、数字の「1」が書いてあることが多いです。

PICkit3、PICkit4のコネクタを見ると、以下のように三角マークがついていますよね。このような場合は三角マークのピンが1番、それから順番に2番、3番となっています。

PICkitコネクタ番号

これらのPICkitコネクタのピン機能は以下のようになっています。

>

PICKitのピン番号 PICKit3の機能 PICkit4の機能
1 MCLR/VPP MCLR/VPP
2 VDD VDD
3 VSS VSS
4 ICSPDAT ICSPDAT
5 ICSPCLK ICSPCLK
6 未使用 未使用
7 未使用
8 未使用

ピンの名前を見ると、3種類とも1番〜5番の5ピンの機能は同じです。PICマイコンにプログラムを書き込むには、この1〜5番ピンを使用します。さらに、PICkit3の残りの6番ピン、PICkit4の残りの6〜8番ピンは未使用です。つまり、PICマイコンにプログラムを書き込む場合、いずれの機種も同じ使い方ができる、ということになります。

このように、PICkit3、PICkit4いずれも1〜5番ピンのみを使用しますので、今後の実体配線図は以下のようにPICkitのコネクタを5ピンで表記することにします。

PICkitコネクタ表現

次に、PICkitとPICマイコンの接続方法を確認します。もう一度PICマイコンのピン名を確認しましょう。

Pic12f1822 pins

このPICマイコンのピン名と先ほどのPICkitコネクタのピン機能の表をよく見ると、同じ機能名が書かれていますよね。PICkitのピン番号、機能とPICマイコンの対応するピンを表にすると以下のようになります。面倒かもしれませんが、一つ一つ確認してみてください。

PICKitのピン番号 PICKitのピン機能 対応するPIC12F1822ピン番号
1 MCLR/VPP 4
2 VDD 1
3 VSS 8
4 ICSPDAT 7
5 ICSPCLK 6

PICマイコンにプログラムを書き込む回路は、PICKitとPICマイコンをこの表に従って接続すればできあがりです。

まずは上の表の通りに接続します。

PICkitとPICマイコンの接続

ただしPICkitとPICマイコンの接続において、一点注意することがあります。理由はちょっと込み入った話になるので説明を省略しますが、MCLR/VPPの信号線については、PICマイコンの4番ピン(MCLR/VPP)とVDDの間に10kΩの抵抗を接続することになっています。言葉ではわかりづらので、図にします。

PICkit書き込み10k抵抗

このように、PICマイコンのプログラム書き込み回路にこの抵抗を接続する、というのはすべてのPICマイコンに共通ですので、まずは「こうするものなんだ」と覚えてしまってください。

PICkitの書き込み回路をまとめると、以下のようになります。

PICkit接続回路

以上で、電源回路、LED回路、PICkit書き込み回路が完成しましたので、これらをまとめてベース回路を完成させましょう。

先ほどのPICkit書き込み回路に対して、電源回路とLED回路と合体させて、ベース回路の実体配線図をつくりましょう。なお、実体配線図は、だんだんと接続線が増えてきましたので、LED接続系を黄色、PICKit3のプログラム書き込み系を緑色に色分けします。

PICマイコン基礎編ベース回路

なんだか複雑になってきましたね。最初にこの接続図を見せられると「理解不可能!」って感じになると思いますが、今まで順々に回路を追加してきたことを思い出してみてください。

この回路は3種類の機能の回路から構成されています。赤と黒の線とパスコンから構成される電源回路、黄色の線のLED回路、緑の線のプログラム書き込み回路です。これら3種類の回路は重なっているものの、頭の中で、これらのブロックごとに見ていけばなんとか理解できるのではないでしょうか。

実は、電子回路をブロックごと(機能ごと)に分解して読み解く、ということは今後とても重要になってきます。超巨大な電子回路を読み解く場合でも、この例のように、ブロックごと(機能ごと)に読み解いていくことになります。

今回、電源接続回路のパターン、LED回路のパターン、PICKitプログラム書き込み回路のパターンを覚えましたよね。この要領でより多くのパターンを覚えると、より複雑な電子回路を理解できたり、自分のアイデアを実現する電子回路をより自由に作ったりできるようになっていきます。

これでLEDを点滅させる回路はこれで完成です。

ところで、もしかしたらこの接続について疑問を持たれた方もいらっしゃるかもしれません。VDD、VSSは電源でしたよね(VDDは電源プラス側、VSSは電源マイナス側)。今回の製作は電池を電源としましたので、すでにPICマイコンに電源をつないでいます。

この実体配線図ではそれにもかかわらず、PICKitからもVDD、VSSにつないでいます。PICKitのVDD、VSSも電源だとすると、二重に電源を供給することになってしまいます。

この点については、プログラムを書き込むステップを説明するときに詳しく解説しますので、まずはこのような接続をする、という理解をしておいてください。

回路図

実体配線図から回路図にしていきますが、ちょっと複雑になってきましたので、実体配線図を再掲しながら説明します。

まず、PICKitプログラム書き込み回路のみの実体配線図はこれでしたよね。

PICkit接続回路

これに対応した回路図は以下になります。

PICkit接続回路図

PICKitのコネクタですが、電子回路記号としてはいろいろな表記方法がありますが、この入門ではこのように表記することにします。

次に、完成した回路の実体配線図は以下です。

PICマイコン基礎編ベース回路

この実体配線図をそのまま、つまり電池もかいた回路図は以下になります。

PICベース回路図

この回路図は、実体配線図の接続位置とは一致していませんが、接続関係によく注意して実体配線図と比較してみてください。電子回路図はあくまで電気的なつながりを記述している、ということを思い出しましょう!

上の回路図は一般的ではありませんので、電池の表記を省いて一般的な表記にします。

PICベース回路図簡略化版

やはり電池を省くとすっきりしますよね。

最初にこの回路図を見ると、なんだか複雑でよくわからない、と感じるかもしれません。でもよく思い出してみてください。この回路図は、電源部分、LED部分、PICKIT3書き込み部分に分かれていますよね。

それぞれ独立して見ていけば、ここが電源接続でこれがパスコンだな、でこのピンを使用して発光ダイオードを接続して、あとはPICKit3からのプログラム書き込む回路があるな、という感じで読めるようになっていると思います。

ところで、いつの間にかパスコンが電源から遠くに配置されてしまいましたよね。この回路図から、コンデンサはパスコン、とわかればかなり上達している証拠ですよ。

今後複雑な電子回路図を読む場合でも、この読み方でいけます。ただし、電子回路図をブロックに分解して読み解くには、いろいろな機能の回路を経験しておく必要があります。覚えることはたくさんありますが、できればブレッドボードを使用して、自分で一度回路を組み立ててみて実験するのが覚える近道です。

お疲れさまでした。これでLEDを点滅させる回路ができました。次回は今までの内容をおさらいするためにチャレンジ課題に挑戦して、その後、この回路をブレッドボードに組み立てます。

更新履歴

日付 内容
2016.7.24 新規投稿
2018.11.12 PICkit4の説明追加
2018.11.23 画像リンク修正
2019.5.18 MPLAB SNAPの説明追加
2022.1.28 MPLAB SNAPの説明追加
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