PICマイコン電子工作入門の基礎編です。第1回目は全体像を説明します。
マイコン電子工作にトライしてみよう!
ネットや雑誌の電子工作製作記事を見ていると、個人でもかなり完成度の高いモノづくりをしてますよね。
そのような記事で、製作過程の説明を見ていると「マイコンはこれこれを使って…」などという内容を見かけることがよくあります。
マイコンを使った製作ではいろいろなことができそうですが、そもそも「マイコン」って何ものなのでしょうか?
マイコンを使うと何ができるのか気になりますよね。

この「PICマイコン電子工作入門」では、マイコンの中でもよく使われている「PICマイコン」という電子部品を使って、実際にモノづくりをしながらマイコンを使った電子工作を進めていきます。
製作を通して、PICマイコンがどのようなものか理解できるように解説していきますので、「マイコン」や「電子工作」の知識がなくても大丈夫です!
マイコンを使った電子工作始めてみたいけど、どこから調べていけばいいんだろう?、という方を対象に、このシリーズでは実際に一緒に作品を作りながらマイコンを使った電子工作の基本的なところから説明していきます。
ぜひ一緒に実際にマイコンを使って製作を進めていきましょう!
PICマイコン電子工作入門の概要
この入門シリーズでは、マイコンの中でも趣味の分野でも多く利用されている「PICマイコン」を使います。
マイコンを使うにはとても多くの知識が必要になりますので、このシリーズ記事は3編に分けて、次のような内容で「基礎編」「応用編」「実践編」に分けて解説を進めます。
基礎編
基礎編では、PIC12F1822という小型のマイコンを使用して、LED、スイッチ、ブザーを制御するタイマーを製作します。
製作したものは実際にキッチンタイマーとして使えます。アイデア次第ではいろいろと面白い機能が追加できますので、ぜひオリジナルのキッチンタイマーを作ってみてください!
応用編
応用編では、基礎編で製作したキッチンタイマーにさらに部品・機能を追加して、マイコンが持つさまざまな機能の制御方法を身につけます。
具体的には「ADC・EEPROM・PWM・割り込み処理・タッチセンサ」の制御方法を身につけます(当然ながら今は言葉の意味はわからなくても大丈夫です!)
実践編
実践編では、PIC16F18857という高機能マイコンを利用して、天気予報装置を製作します。
習得する知識は、「I2C通信・SPI通信」といった、センサー部品などとデータ通信をする方法です。
一部の部品で半田付けが必要になりますので、本格的な電子工作も習得することができます。
予算
ところで気になってしまうかもしれませんが、この入門シリーズで電子工作をするために必要な予算を見積もってみました。
基礎編+応用編の予算
最初は、基礎編と応用編を合わせた予算です。
WindowsかMac、LinuxのPCを持っていて、それ以外は電子工作に関するものは何も持っていない、という場合、およそ10,000円または23,000円程度です。(入手する工具により大きく異なります)
なんだかちょっと高い気がしますが、この費用の中には今後ずっと使える工具も含まれています。
また、材料の中には、配線をするための電線や電子部品のまとめ買いも入っています。
PICマイコンで何かをつくるたびに、こんなに金額がかかるわけではありませんのでご安心ください。
実践編の追加予算
実践編では部材を追加購入しますが、予算は3,500円程度になります。
新しいPICマイコンのほかに、液晶ディスプレイモジュール、温湿度・気圧センサー、ブレッドボードを追加で入手します。
また、実践編ではハンダ付けが必要になります。
ハンダ付けの道具を持っていないという方は、ハンダゴテなどを購入する必要があります。
ハンダゴテが約5,000円、半田が500円〜1,000円、半田ゴテ台が500円〜1,000円程度です。
ハンダ付けの工具類は全部で6,000円〜7,000円ぐらいになります。
C言語の習得
PICマイコンのプログラミングでは「C言語」を使用しますが、この入門シリーズではC言語自体の説明はしていません。
現時点でまったくプログラミングの知識がない、という場合はぜひ先に基本的なプログラミングの知識を身につけることをおすすめします。
最近はわかりやすいC言語入門の書籍がありますので習得にそれほど時間はかからないと思います。
また、このサイトの紹介になりますが、「Arduino入門」という入門シリーズ記事を用意しています。
基本的なC言語の知識が習得できるような内容ですので、よろしければご覧いただければと思います。

ところで、この入門シリーズで必要なC言語の知識はそれほど多くありません。
次の項目をおさえておけばOKです。
- コメントの書き方
- #define、#include
- 関数
- 変数の宣言と操作
- 構造体
- 繰り返し制御(while・for)
- 条件判断(if・switch)
- 2進数、16進数
複雑なC言語の使い方は必要ありませんし、多くの人がつまづく「ポインタ」はこのシリーズ記事では出てきませんのでご安心ください。
ある程度のC言語の知識があれば、ちょっとわからないことがあっても思い切ってマイコンを使った電子工作の世界に飛び込んでみましょう!
習うより慣れろ、ですね。
更新履歴
日付 | 内容 |
---|---|
2016.5.29 | 新規投稿 |
2018.10.23 | 誤記訂正 |
2022.1.31 | 価格情報更新 |
2023.9.19 | 価格情報更新・デザイン見直し |
2024.7.17 | 価格情報更新 |
2025.3.3 | マイコン画像追加 |
2025.3.30 | 予算価格情報更新 |
claynets様
半年くらい前は、質問に答えていただきありがとうございました。
お陰様で少しずつ知識を増やすことができ、Raspberry Pi、Arduinoの使い方を覚え、次はPICマイコンに挑戦してみます。
claynets様のPICマイコン電子工作入門がとても参考になりそうです。
貴重な記事ありがとうございます。
キャップさま、
RaspberryPiやArduinoが使えるようになってくると、マイコンに挑戦したくなりますよね。何か実用的なものを作る場合、特にRaspberryPiは価格も高いですし、消費電力の制御も難しいので、作るものが限られることもあります。マイコンが使えるようになると、価格は高くても数百円ですし、消費電力の制御も細かくできますし、サイズも小さいものがありますので、作れるものの自由度がかなり高くなります。
PICマイコン入門シリーズは、今年は実践編まで書く予定です。何かわからないことがありましたらご質問いただければと思います。