20世紀最大の発明と言われる「トランジスタ」に焦点をあててその歴史、概要を特集します。
はじめに
2019年5月1日「令和」改元で、日本のひとつの時代が終わりそして新たな時代が始まります。いつの時代も人々の生活を変え、支えてきたのはテクノロジーといえるでしょう。今回はこの節目にあたり、20世紀最大の発明と言われる「トランジスタ」に焦点をあててその歴史、概要を特集します。ものづくりにご関心のある方なら必ず知っておきたい入門知識を通して、次なる時代の新たなテクノロジーの発展に思いを馳せてみてください。
ノーベル賞を受賞 20世紀の大発明「トランジスタ」とは
トランジスタは私たちの生活には欠かせない電子部品です。パソコン、テレビ、ディスプレイモニター、プリンタ、電子レンジ、洗濯機、IHクッキングヒーター、自動車、時計など身の回りの電子部品は勿論のこと、電子工作でおなじみのPICマイコン、IoT・ロボット関連部品にも使われています。現代の生活はトランジスタの恩恵なしには成り立ちませんね。
今でこそ当たり前のトランジスタですが、その発祥の歴史は今から70年以上前に遡ります。1948年、アメリカのベル研究所のウィリアム・ショックレー、ジョン・バーディーン、ウォルター・ブラッテンの3名によってトランジスタが発明されました。当時トランジスタと同様の役割を果たすものとして実用化が進んでいたのは「真空管」でしたが、その消費電力や耐久年数の観点でトランジスタには劣る結果となりました。
この発明の功績から、ウィリアム、ジョン、ウォルターの3名は1956年にノーベル物理学賞を受賞しました。
トランジスタの基本機能とその種類
トランジスタはディスクリート部品の一種です。ディスクリート(あるいはディスクリート半導体)とはIC のような複合体ではなく単機能のみを備えている電流コントロール部品を指します。トランジスタの機能は2点、「スイッチング」と「増幅」です。
「スイッチング」機能は電子回路でオン / オフを切り替える役割を持ちます。トランジスタを使用することで単純なスイッチの切り替えだけで、回路に必要な電流を流す設計にすることが可能です。
一方「増幅」は、弱い電流を強い電流に変えることができる機能のことです。この効率化のおかげで、消費電力を抑えて電子機器の稼働を実現することができます。こうしたトランジスタの高機能化のためパソコンや携帯電話、充電器などの小型軽量化も可能になったのです。
トランジスタのなかで最も有名なのは「バイポーラトランジスタ」です。これは3層のシリコン半導体で作られた3ピンのデバイスでP型とN型が接しているPN接合によって構成されるトランジスタのことです。BJT (バイポーラジャンクショントランジスタ)とも呼ばれることもあります。
バイポーラトランジスタは電流の変化によって電圧を調整することができる点から、電子機器に搭載されてこれまで広く普及してきました。
基本的な機能と仕組みが理解できれば、バイポーラトランジスタは個人的な電子工作においても活用ができる部品です。
時代を変えるテクノロジーのこれから
デロイトトーマツコンサルティングが発表したテクノロジー・メディア・通信業界に関するトレンド予測「TMT Predictions 2019」によると2019 年は世界的に5Gの広域無線ネットワークが広まり、サービス提供が始まる年として通信企業のみならず他業界にも大きなインパクトを与えるとされています。これにより、まさしくスマーターシティと言われて久しいIoT実用化の舞台が整うことになるでしょう。またガートナーの予測においてもIoTでインターネットに繋がれるモノの数は2019年で142億個、2021年には250億個にも増加するとされています。
そうなると、電源に繋がっていないIoTセンサーをいかに効率的に稼働させるか、ネットワーク負荷が増えるインフラのデータセンターをいかに安定運用させるか。未来のテクノロジーの発展には必ずと言っていいほどトランジスタの活躍があることが想像できます。
2019年、時代の大きな変化の中でまずは小さな電子部品「トランジスタ」からテクノロジーの理解を深めてみてはいかがでしょうか。
ご関心を持たれた方は当サイト電子工作入門も是非ご参考になさってください。
更新履歴
日付 | 内容 |
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2019.4.25 | 新規投稿 |