今回は、電子部品と工具類で準備するものを説明します。
説明内容
今回の記事では、以下のように分類して説明します。
- 電子部品類
Node-REDで制御するセンサやLEDなど、主役となる電子部品類について説明します。 - 配線類
電子部品をラズベリーパイで制御するには、ラズベリーパイのGPIOと電子部品を接続する必要があります。この作業に必要な配線類などの部品を説明します。 - 工具類
電子工作では電子部品や配線を加工する必要がありますので、その作業に必要な工具類を説明します。
これから必要な部材を個別に説明しますが、最後にリストにまとめてあります。これから購入される場合、参考にしてみてください。
電子部品類
フルカラーLED
RGBフルカラーLED 5mm OSTA5131A カソードコモン(秋月電子通商)
最近はLED照明がかなり普及していますので、LEDという言葉はご存知の方が多いと思います。
とはいっても、画像のようなLEDはなかなか見かけませんよね。「フルカラーLED」という製品名の通り、このLEDはいろいろな色で光らせることができます。
LEDには非常にたくさんの種類がありますので、購入するときは十分注意してください。今回使用するフルカラーLEDは、製品名に「カソードコモン」と書いてあるものになります。
非常に似たような製品で「アノードコモン」と書いてあるものもありますので、十分注意してください。
また、製品名に「5mm」と書いてありますが、これは本体の大きさです。5mm以外の製品もありますが、入手性や扱いやすさから今回は5mmを選びました。
光拡散カバー
「光拡散カバー」って何?って感じですので、この製品について補足します。
と、その前にフルカラーLEDの仕組みを簡単に説明します。
PCやスマホのディスプレイって、いろいろな色で文字や画像が表示されていますよね。これは、実際にその色が表示されているわけではなく、とても小さい「赤」「緑」「青」の光を組み合わせて表示しています。これらの光は非常に小さいので、遠くから見ると「赤」「緑」「青」が混ざって特定の色に見えます。この「赤」「緑」「青」それぞれの光の強さを調整すると、いろいろな色が表現できるわけです。
今回使用する「フルカラーLED」はスマホの画面と同じように、本体の中に「赤」「緑」「青」のLEDが3個入っています。これらのLEDの光の強さを調整するとフルカラーが表現できる、というわけです。
例えば「赤」と「緑」の光を混ぜると黄色の光に見えます。ところが、フルカラーLEDは、中に入っている3色のLEDの大きさが比較的大きいため、「『赤』と『緑』が混ざって黄色に見える」というよりも「赤と緑が別々に光っている」というように見えてしまいます。画像だとなかなか分かりづらいですが、赤と緑が分離して見えてしまいます。
そこで、赤と緑を点灯させたときに黄色に見えるように、「光拡散カバー」を付けます。
光拡散カバーをつけて先ほどと同じように光らせると、以下のように赤と緑が混ざって黄色に光っているように見えます。
1個30円もします。品物の割にはちょっと高い気もしますが、フルカラーLEDと一緒に入手してみてください。
抵抗
カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗)1/4W 100Ω (だいたい100本入)(秋月電子通商)
先ほどのフルカラーLEDは、電源(電池など)に接続すると光りますが、電源に直接接続すると電流が流れ過ぎて壊れてしまいます。
フルカラーLEDに流れる電流を制限するために「抵抗」という電子部品を使用します。
抵抗は電流の流れにくさを数値であらわし、単位はΩ(オーム)です。このシリーズで製作する回路では「100Ω」の抵抗を使用します。
また、製品名にワット数が書いてありますが、このワット数の意味については回路を製作するときに詳しく説明します。もし1/4Wがない場合は1/6Wや1/8Wでも大丈夫です。(1/2Wもありますが、このワット数の場合は抵抗の本体サイズが大きくなるため、1/4W以下のものを選ぶようにしてください)
全部で7本使用しますが、バラ売りで購入すると1本10円程度とかなり高価です。まとめ売の場合は100本で100円〜200円程度ですので、今回は100本入りの製品を選びました。なお、ほとんどの製品は重さを計量して封入しているため、100本といっても99本または101本入っていることがあります。
マイコン内蔵LED
マイコン内蔵RGB LED 5mm PL98123-F5(秋月電子通商)
このマイコン内蔵LEDも、先ほどのフルカラーLEDと同様に1個のLEDの中に「赤」「緑」「青」の3個のLEDが入っていて、それらの光の強さを調整することでさまざまな色で光らせることができます。
とはいっても、これだけの説明ですとフルカラーLEDとマイコン内蔵LEDは何がどう違うのかさっぱりわかりませんよね。詳しくは回路を製作する時に説明しますが、ここではイメージをつかんでいただこうと思います。
先ほどのフルカラーLEDをラズベリーパイで制御する場合、3本のGPIOで制御します。フルカラーLEDの中に入っている「赤」「緑」「青」のLEDをそれぞれGPIOピンで制御します。
一方、マイコン内蔵LEDは1本のGPIOピンで制御できるんです。以下のように1本のGPIOピンから「赤」「緑」「青」をどの程度の強さで光らせるかというデータをLEDに送ると、LEDに入っているマイコン(小さいコンピュータ)がそのデータを受け取って「赤」「緑」「青」のLEDを光らせます。
また、このマイコン内蔵LEDは以下のように数珠つなぎで何個も接続することができます。このように接続した場合は、ラズベリーパイの1本のGPIOピンから「1番目のLEDはこの色、2番目の色はこの色…..」というようなデータを送ります。
マイコン内蔵LEDなんて初めて聞いた、という方もいるかもしれませんが、おそらくこのタイプのLEDを見かけたことがあるのではないかと思います。
クリスマスシーズンになると、街中がいろいろなイルミネーションで装飾されますよね。その中に、光が走ったりいろいろな色で光ったりするイルミネーションを見たことがあると思います。その多くはこのマイコン内蔵LEDが使われています。
マイコン内蔵LEDは「NeoPixel」という製品名や「WS2812」という型番で広く流通しています。アマゾンや楽天などの通販サイトで「neopixel」と検索するとこのLEDを使用したいろいろなタイプの製品が見つかります。今回使用するマイコン内蔵LEDは、通販でよく見られるものと形が違いますが中身は同じです。
スイッチ
商品名の「タクトスイッチ」はアルプスアルパイン社の登録商標で、一般的には「タクタイルスイッチ」と呼ぶようです。
この製品にはボタンの色がたくさんありますが、特に色の指定はありません。製作するときに金属部分が変に曲がってしまうこともありますので、できれば予備も入れて2〜3個準備してください。
温湿度センサ「DHT22」
温湿度センサは「DHT22 温湿度センサモジュール」という製品を入手してください。アマゾン、楽天、Yahooショッピングなどで入手可能です。
この製品を選ぶ際、注意点が2つあります。
一つ目の注意点は似たような製品名のものがある点です。「DHT11」「DHT22」という製品があります。
両方とも、温湿度を計測できますが、性能と価格差があります。
名称 | 温度測定範囲 | 湿度測定範囲 | 価格目安(1個あたり) |
---|---|---|---|
DHT11 | 0 〜 50℃ | 20 〜 90% | 200円 〜 300円程度 |
DHT22 | −40 〜 80℃ | 0 〜 100% | 700円 〜 1,000円程度 |
今回の電子工作では、熱中症アラートを製作します。熱中症は気温が低くても湿度が高い場合危険性があります。湿度は90%以上の判定も必要なため、今回はDHT22を選びました。なお、それほど厳密に判定する必要もないと思いますので、DHT11でも実用になると思います。
二つ目の注意点は、形状です。このセンサモジュールは以下のようにセンサ単体の製品と、基板に取り付けられて製品があります。(すみません、画像は「DHT11」です。比較用のDHT22が手持ちでありませんでした…)
必ず、基板に取り付けられている「DHT22温湿度センサモジュール」を入手するようにしてください。センサ単体の製品の場合、制御するために他にも電子部品が必要になってしまいます。基板に取り付けられている製品の方は、必要な部品も取り付けられていますので取り扱いが容易になります。
配線類
ブレッドボード
先ほど説明した電子部品類を電気的に接続して回路を製作していきます。その際、上の画像のような「ブレッドボード」という部品を使用します。ブレッドボードの中身や使い方などは回路を組み立てるときに詳しく説明します。
ブレッドボードは多くの種類があります。非常に小さいタイプから、大きなタイプまであります。
今回は、30列あるブレッドボードを使用します。30例以上でも製作できますが、場所を取りますので30列のものを入手することをおすすめします。
ブレッドボード用ジャンパワイヤ
ブレッドボード・ジャンパーワイヤ 14種類×10本(秋月電子通商)
ブレッドボード上で、部品を電気的に接続するための電線です。ブレッドボードの穴の間隔に合わせていろいろなサイズが入っています。各色5本入りと10本入りがありますが、今回は予備も含めて10本入りのものを使用します。
ジャンパワイヤ
ブレッドボード・ジャンパー延長ワイヤ(メス-メス)15cm (10本入)(秋月電子通商)
先ほどの「ブレッドボード用ジャンパワイヤ」は、ブレッドボード上の配線を行う部品です。
ブレッドボードで製作した回路と、ラズベリーパイから制御するためには以下のようにGPIOピンを接続する必要があります。
この接続を行うために画像のような「ジャンパワイヤ」を使用します。
ところで、このジャンパワイヤにもいろいろな種類があります。両端ともソケットタイプのもの、両端がピンタイプのもの、片方がソケットタイプでもう片方がピンタイプのものです。
このシリーズでは「両端がソケットタイプのもの」を使用します。製品名では「メス−メス」と表現されています。このタイプのジャンパワイヤを使用する理由は次の「ピンヘッダ」の項目で説明します。
ピンヘッダ
ジャンパワイヤでラズベリーパイのGPIOピンとブレッドボードを接続しますが、ブレッドボード側は以下のようピンヘッダという部品を使用して、ラズベリーパイのGPIOピンと同じような仕組みを作ります。(このピンヘッダは必要な分だけ切り取って使用できます)
なお、ピンヘッダにもいくつか種類があります。今回使用するものは両側とも同じ長さのものですが、製品によっては片側が短いものがあります。
上の画像の下側のピンヘッダのように片側が短いものは、ブレッドボードにしっかり挿すことができませんので、両端が長いピンヘッダを入手するようにしてください。
ところで、ジャンパワイヤの片側がソケットタイプ、もう片側がピンタイプのものも使用できます。
ただ、このタイプのジャンパワイヤを使用すると、ラズベリーパイ側を最初に接続すると、この画像のようにもう片方側の金属(ピン)が露出していて、何かに触れるとラズベリーパイ側にダメージを与えてしまうかもしれません。そのため、今回の製作では両端ともソケットタイプのものを使用することにします。
ただ、ソケットタイプとはいっても、ソケットの中には金属がありますので、作業する際は注意するようにしてください。
工具類
ラジオペンチ
ラジオペンチは100均のもので十分ですが、入手する際はなるべく先端が細いタイプもののをおすすめします。
ラジオペンチを使って部品のワイヤを曲げる作業をします。
電子部品は小さいものが多いので、先ほどのように先端が細いタイプのラジオペンチの方が作業しやすくなります。
ニッパー
ニッパーを使用して電子部品のワイヤを切断します。ニッパーも100均のもので十分ですが、なるべく小型のものをおすすめします。
なお、ニッパーは刃先によって切れ味が変わってきます。やはり高いものほど切れ味がよく耐久性も高くなります。もし他にも電子工作をする予定で、予算に余裕があるようでしたら1,000円程度のニッパーをおすすめします。
ピンセット
細かい作業が多くなりますので、ピンセットがあると便利です。必須ではありませんが100均のもので十分ですので、ぜひ入手をおすすめします。
まとめ
必要なものは以上です。表にまとめましたので参考にしてみてください。
備考欄に秋月電子通商の通販番号が書かれている場合、秋月電子通商のホームページで以下のように検索できます。
部材 | 必要個数 | 参考価格 | 備考 |
---|---|---|---|
フルカラーLED | 1個 | 50円 | 秋月電子通商通販番号 I-02476 |
マイコン内蔵LED | 2個 | 1個40円 2個で80円 |
秋月電子通商通販番号 I-08411 |
光拡散カバー(5mm用) | 1個 | 30円 | 秋月電子通商通販番号 I-00641 |
カーボン抵抗(1/4W・100Ω) | 7本 | 100本入100円 | 秋月電子通商通販番号 R-25101 |
スイッチ | 1個 | 10円 | 秋月電子通商通販番号 P-03648 |
DHT22モジュール基板 | 1セット | 1,000円程度 | アマゾン、楽天、ヤフーショッピングなど |
ブレッドボード(小) | 1個 | 200円 | 秋月電子通商通販番号 P-05294 |
ブレッドボード用 ジャンパワイヤセット |
1セット | 400円 | 秋月電子通商通販番号 P-00288 |
ジャンパワイヤ(10本入) | 1セット | 330円 | 秋月電子通商通販番号 P-03476 |
両端ロングピンヘッダ(1×40) | 1本 | 50円 | 秋月電子通商通販番号 C-09056 |
ラジオペンチ | 1本 | 110円程度 | 100均ショップなど |
ニッパー | 1本 | 110円程度 | 100均ショップなど |
ピンセット | 1本 | 110円程度 | 100均ショップなど |
更新履歴
日付 | 内容 |
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2022.3.8 | 新規投稿 |