天気予報のアルゴリズムを考える前に、天気と気圧の関係を調べてみます。
天気と気圧のデータ
実践編を終えるにあたり、製作した回路で天気予報に挑戦してみます。
以前の記事でも説明しましたが、天気と気圧には関係があります。気圧が上昇傾向にある時は天気がよくなる傾向に、気圧が下降傾向にある時は天気は悪くなる傾向にあります。
とはいっても、自然現象ですので100%このような関係があるというわけではありません。そこで、過去の天気と気圧のデータを確認して、どの程度関係があるのか調べてみることにします。
天気と気圧のデータ取得
過去の気象データは気象庁のサイトで公開されていますので、そこから取得します。ご自身の住んでいる地域のデータを取得して分析してみるのも面白いと思いますよ。
それではこれから気象庁のサイトから過去の気象データを取得する手順を説明します。
最初に気象庁サイトの「過去の気象データ・ダウンロード」ページにアクセスします。
https://www.data.jma.go.jp/gmd/risk/obsdl/index.php
(気象庁「過去の気象データ・ダウンロード」サイト)
以下のような画面が表示されると思います。
このページで、検索条件を指定して、過去のさまざまな気象データをダウンロードすることができます。
画面左側は、(1)検索項目を選択して、(2)検索条件を指定するエリアです。(1)検索項目を選択すると、その検索項目に関する(2)検索条件が表示されますので、そこから検索条件を指定します。
また右側のエリアには、(3)の現在指定している検索条件が表示されるエリア、(4)の指定した検索条件の気象データをダウンロードするボタンがあります。なお、検索条件によってはデータ量が非常に多くなるため、ダウンロードできるデータ量に制限があります。現在指定している検索条件ではどの程度のデータ量になるかは(5)データ量のところに表示されます。100%を超えた場合はダウンロードできませんので、その場合は検索条件を見直します。
それでは具体的に以下の条件で過去データを取得してみます。
項目 | 条件 |
---|---|
場所 | 横浜 |
期間 | 2018/3/1 〜 3/15 |
データ種類 | 1時間ごとの気圧と天気のデータ |
まず場所の選択です。
(1)検索項目で「地点を選ぶ」を選択すると全国の地図が表示されますので、そこから調べたい都道府県を選択します。
都道府県を選択すると、気象台の選択画面になりますので、一番近い気象台を選択します。
これで地点の選択ができました。次に取得する期間とデータ項目の選択です。(1)検索条件のところから「項目を選ぶ」を選択すると、以下のような期間と項目を選択する画面になります。
1時間ごとの気圧と天気のデータを取得したいので、「データの種類」から「時別値」を選択、「項目」から「海面気圧」と「天気」を選択します。
最後に(1)検索項目の「表示オプションを選ぶ」を選択すると、以下のような画面が表示されます。
この画面の設定は分かりづらいですが、今回のように天気と気圧の大体の傾向がわかればよい、という程度でした上の設定で問題ありません。
この設定項目は、過去の平均値との比較データも取得する場合に統計値に問題があるデータはどのような表示にするか、また観測場所を異動したためにデータ連続性がない場合にどのような表示にするか、などの設定です。データに厳密性が欲しい場合に適切に設定することになりますが、今回は上の設定で大丈夫でしょう。
最後に(5)データ量が100%を超えていないか確認し、超えていなければデータのダウンロードができますので、(4)ダウンロードボタンをクリックします。クリックするとCSVファイルとしてダウンロードできます。
気象データの中身
それではダウンロードしたデータはCSV形式ですので、テキストエディタや表計算ソフトで開くことができます。以下のように日時とその時の海面気圧、天気が表示のデータが取得できました。
???
データをよくみると、天気のデータは「天気番号」となっていて、天気が数字で表現されていますし、そもそも天気データがない時刻も多いです。これはどういう意味なんでしょうか。
この天気の情報ですが、自動で観測しているわけではなく、毎日決まった時刻に人が目視で判断しているようです。1日に4回程度の観測になるため、このようにデータがない時刻があります。また天気は番号で記載されています。この番号の意味は以下になります。
聞きなれない天気もありますが、大雑把にまとめると、数字が大きくなるほど天気が悪くなる、という感じでまとめられているようです。1と2が晴れ、3〜8ぐらいが曇りなどの晴れでも雨でもない天気、9以降が雨のような悪天候、という感じでしょうか。
そこで、天気番号は1〜2が晴れ、3〜8が曇り、9以降を雨としてデータを整理してみます。ただ、グラフにする場合数字が大きい方が天気が良い、というように表現したいため、この番号を変更しておきます。
具体的には、取得した天気データを
変換後の天気番号 = 11 – 取得した天気番号
(ただし、変換後の天気番号が1未満の場合は1にする)
として変換します。例えば天気番号が1(快晴)の場合、11-1 = 10で、快晴は10に変換します。このように変換すると、10〜9は晴れ、8〜3が曇り、2〜1を雨と大雑把に分けることができると思います。
このように変換したデータをグラフにすると以下のようになります(このグラフはmacOSのNumbersアプリを使用して描画しました)。
青い線は気圧をhPaで示したもので、オレンジの線は先ほどの変換式で天気番号を大きい数字をいい天気にしたものです。このグラフから気圧の傾向と天気の関係がどの程度あるのか確認してみます。
天気と気圧の関係
以下のグラフは、雨の期間を薄いピンク色で示したものです。全ての雨の期間に言えるわけではありませんが、雨が降る前は気圧が大きく下降し、天気がよくなるときは気圧が大きく上昇していることが分かります。ただし、雨が降ったり止んだり、という期間は気圧の変化だけでは予測は無理そうです。
天気予報のアルゴリズムはある程度割り切って、あまり複雑なものにしない方がよさそうな気がします。
次回は天気予報のアルゴリズムを考えてみます。
更新履歴
日付 | 内容 |
---|---|
2018.10.10 | 新規投稿 |