実践編で必要な道具や電子部品、その他部材のリストを作成します。今回はハンダ付け関連道具についてまとめます。
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現在、PICマイコン電子工作入門実践編シリーズの記事内容を最新の情報に合わせて、2025年9月までを目標に全面的に更新しています。
更新の理由は次のとおりです。
- 記事で使用している部品の中に、現在では調達できない部品があるため
- 記事内容に古い記述があるため
- 掲載している天気予報プログラムのアルゴリズムを改善するため
更新期間中は、新旧の記事間で一部内容に矛盾が生じる可能性があります。 ご不便をおかけいたしますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
なお、更新済みの記事には冒頭に「この記事は更新済みです」の表示をしております。
引き続き、よりわかりやすく、役立つ情報を提供できるよう努めてまいります。 今後ともよろしくお願い申し上げます。
買い物リストの説明の進め方
第2回〜第4回の記事で、実践編で使用する道具や電子部品のリストを作成します。
リストは以下のように大きく4ジャンルに分けました。
- ハンダ付け道具関連
- ハンダ付け練習部材
- 電子部品類
- ツール類
これから、ジャンルごとに道具や部材の説明をして、買い物リストを作成します。すでにお持ちのものを確認いただき、必要なものを揃えていただければと思います。
今回の記事では「❶ ハンダ付け道具関連」を説明します。
❶ ハンダ付け道具関連
最初はハンダ付けに関連する道具です。
ハンダこて
電子工作に興味があれば、一度は「ハンダ付け」という言葉は聞いたことがあるかもしれませんね。
ハンダ付けは次のような作業です。

ハンダ付けは「ハンダ」と呼ばれている針金状の合金を、「ハンダこて」を使って熱して溶かして接合し、電子部品などを電気的に接続するものです。
ハンダこては電子工作だけでなく、他の用途でも使われます。
例えば手づくりのステンドグラスや、木材などを焦がして文字や絵を描くウッドバーニング、金属のアクセサリ、鉄道模型などの造形物を作ったりと、いろいろな場面で使われます。興味があればネットなどで調べてみてください。趣味の範囲が広がるかもしれませんね。
このハンダこてですが、100円ショップでも安く売られています。
できれば安く済ませたいところですが、電子工作で使う場合はなるべく温度調整機能のついたハンダこてを使用することをお勧めします。
温度調整機能がないハンダこての場合、ハンダこての温度が非常に高くなる場合があります。その結果、電子部品やハンダを熱しすぎてしまうことにより、ハンダ付けがうまくいかなかったり、電子部品を壊してしまう可能性があるためです。
そこで、少々価格が高くなりますが、以下のような温度調整機能付きハンダこてをお勧めします。

これは白光社製の「FX-600-02」という製品で、4,000円程度で入手できます(2025年6月時点)。
他にも温度調整機能付きのハンダこてがありますが、日本製はだいたい4,000円程度、中国製は1,500円程度です。通販サイトで探すと何種類か見つかりますので、レビューなども確認して選んでみてください。
「FX-600」には製品型番の枝番として01と02があります。
違いはコンセントプラグの形状で、通常の家庭にあるコンセントで使用する場合は02を購入します。01は接地プラグですので、アース付きのコンセントか変換プラグが必要になります。
こて先
できればで構いませんが、「こて先」と呼ばれている部分も追加で一緒に購入することをお勧めします。

ハンダこてを購入した時に標準でついているこて先は、多くの場合、次のように先の丸まった鉛筆のような形をしています。
このような鉛筆型のこて先は「B型」と呼ばれています。B型のこて先でも特に問題はありませんが、他に以下のように先が斜めにカットしてあるタイプのこて先を用意しておくと、ハンダ付けがやりやすくなります。
このようなこて先は「C型」または「BC型」と呼ばれています。
ハンダ付け作業では、ハンダ付けをする部分を十分に熱する必要があります。
この熱する作業は、標準のB型のこて先よりもC型やBC型の方が、ハンダ付けをする部分に接する面が大きくなるため、熱しやすく、結果としてハンダ付け作業がやりやすくなります。
ハンダこてとしてFX-600を選んだ場合、交換用のこて先は「T18-2C」が使いやすいと思います。他のメーカーの場合は、こて先直径が2mm程度のC型またはBC型がおすすめです。
ハンダ
次にハンダですが、「材料」と「太さ」が異なる多くの種類があります。
「材料」については、以前は鉛が入っていたものが一般的でしたが、今は環境保護の観点から鉛が入っていない製品が一般的になってきています。
「太さ」は、0.6mmか0.8mmのものを購入するとよいでしょう。
このシリーズでは0.8mmの無鉛ハンダを使用します。価格は長さにより異なりますが、最初は3m〜5m程度あれば十分です。
ところで「はんだ付け検定」というものがあるのをご存知でしょうか。
この検定は3級〜1級がありますが、無鉛ハンダは上位級である2級と1級で使用されていて、3級は鉛入りハンダが使用されています。
3級の検定で鉛入りハンダが使用されているのは、鉛入りハンダの方が無鉛ハンダよりハンダ付けが容易なためです。
鉛入りハンダは、無鉛ハンダより融点(溶ける温度)が低いため、無鉛ハンダほど熱する必要はありません。感覚としては、鉛入りハンダはサッと溶ける感じですが、無鉛ハンダはハンダこての当て方(熱し方)が悪いとなかなか溶けず、溶けたハンダもすぐに広がらない感じがします。
このように鉛フリーハンダはちょっと難しいところがありますので、初めての場合は鉛入りハンダも選択肢になります。
こて台
ハンダ付け作業をしている間、ハンダこては非常に熱くなりますので、ハンダこてを置いておく台が必要です。
価格は非常にバラツキがありますが、なるべくしっかりしたものを購入するようにしてください。
一番安いタイプは以下のようなもので、200〜300円程度です。
ただ、このようなこて台は軽いため、ハンダこてのコードにちょっと触れるだけで、ハンダこて本体がずれて落ちたりするため作業する際には十分注意が必要です。
これから入手される場合、次のようなしっかりしたこて台を検討してみてください。
左: 白光社 こて台 FH300-81
右: 白光社 こて台 633-01
こて台は以下のように使用します。
ところで、こて台にスポンジのようなものがついています。これはハンダ付け作業中に、こて先についたハンダを落として、こて先をきれいにするためのものです。こて先クリーナーと呼ばれていますが、これには次のように2種類あります。
スポンジタイプのクリーナーは、水を含ませておき、こて先を拭うようにしてきれいにします。
金属タイプのクリーナーは、こて先を、クリーナーに何回か差し込むことにより、こて先についたハンダを落とします。
どちらもこて先についたハンダを落とすことはできますが、スポンジタイプは水を使うため、こて先を拭った時にこて先温度がちょっと下がってしまいます。こて先は温度を一定に保って方がハンダ付け作業はやりやすくなります。
その点、金属タイプのクリーナーは水を使いませんので、こて先をクリーニングしても温度が下がりません。また、こて先の急な温度の変化がないため、こて先がより長持ちします。
ヒートクリップ
ヒートクリップとはこのようなものです。
実践編で使用する部品のハンダ付けではこの部品は必要ありませんが、今後のためにこの部品の使い方を確認しておこうと思います。
このシリーズ記事では、練習基板でハンダ付け練習をしますが、この部品の使い方も確認します。
ところで、この部品、何目的か謎ですよね。
一般的な抵抗などは熱に強いため、ハンダこてで多少長い時間熱してしまってもほとんど壊れることはありません(とはいっても、熱しすぎはよくありませんが)。
一方、LEDなどの半導体を使っている部品は熱に弱いため、ハンダこての使い方(設定温度や熱している時間)によってはLEDを壊してしまう可能性があります。
そこで、この「ヒートクリップ」という部品で、以下のようにLEDのリード線を挟んでハンダ付けを行います。
ヒートクリップを使用してハンダ付けを行うと、LEDのリード線から伝わってきた熱がヒートクリップにも伝わるため、LED本体への熱の伝わりが少なくなり、壊れる可能性が低くなります。
ハンダ吸い取り線
部品を間違ってハンダ付けしてしまった場合、ハンダ付けをやり直す必要があります。
その場合、ハンダを除去する必要がありますが、そのようなときは次のようなハンダ吸い取り線と呼ばれているものを使用します。
使い方は、ハンダを除去したい部分にこの吸い取り線をおき、上からハンダこてで熱すると、溶けたハンダがこの吸い取り線に吸い取られます。
作業用シート
ハンダこては300度以上に熱くなりますし、ハンダ付けした部品もかなり熱くなります。
そのため、普段使用している机などで作業をすると、だいたいどこかを焦がして変な模様をつけてしまいます。
そこで、作業シートを使うようことをおすすめします。
通販サイトなどて検索すると、電子工作用のシリコンシートや帯電防止マットというものが販売されています。製品名としては「電子工作マット」「作業マット」などです。
製品を選ぶポイントは、耐熱温度か高いものを選ぶと良いと思います。
きちんとしたものであれば、以下のような作業マットが適していますが価格はちょっと高いです。
基板を支える台
ハンダ付けの練習では、次のように基板にLEDをハンダ付けします。
このように、背の高い部品を基板にハンダ付けする場合は上のように基板が安定しません。
そこで、何か基板を支える台があった方が作業がしやすくなります。
私の場合は、100円ショップで5〜10mm厚ぐらいの木材やMDF材を買ってきて何枚か重ねて作業台にしています。
これは、次のようなMDF材を3枚重ねて、幅が広めの輪ゴムで端を留めたものです。ゴムを巻くことによって台も基板も滑りにくくなるため作業しやすいと思います。なお、ゴムや木材にハンダこてを当てないように注意します。
新しく何か買うのはもったいないので、家にあるもので何か使えそうなものを見つけてみてください。
なおハンダ付け作業用に、以下のような基板を挟むクリップとルーペがついた道具が販売されています。
この製品は、基板をクリップで挟み、ルーペで拡大しながらハンダ付け作業ができるツールです。
似たような製品が多く販売されていますが、クリップの押さえが弱い製品が多いため、この製品を購入する場合はユーザレビューなどを十分に確認してから購入するようにしてください。クリップの押さえが弱いと、ハンダこてを当てた時に基板がずれてしまい、ハンダ付けがかなりやりづらくなります。
ハンダ付け道具関連の買い物リスト
今までの内容をリストにまとめます。代用できるものがあれば、それを使うようにしましょう。
アイテム | 参考品 | 価格目安 |
---|---|---|
ハンダこて | Hakko FX-600-02 | 4,000円 |
こて先 | Hakko T18-C2 | 700円 |
ハンダ | 1,000円 | |
ヒートクリップ | 太洋電機産業 H-1S | 100円 |
ハンダ吸い取り線 | 太洋電機産業 CP-2015 | 200円 |
電子工作用作業マット | 電子工作用シリコン製など | 1,000円 |
基板を支えるもの | 木材の切れ端または クリップとルーペがついた固定台 | 1,500円 (専用の固定台の場合) |
更新履歴
日付 | 内容 |
---|---|
2018.3.10 | 新規投稿 |
2020.3.7 | 商品リンク切れ修正 |
2025.6.22 | 購入先、価格情報更新 |