この応用編の最後として、MPLABXのプラグイン機能である「MCC」について説明します。
MCCとは
MCC (Microchip Code Configurator)は、一言でいうとプログラムの基本部分を自動生成してくれる機能です。そうはいっても「基本部分」とはどのあたりなのか、「自動生成してくれる」とはどこまで自動生成してくるのか、いろいろ疑問があると思います。
そこで応用編の最後として、このMCCを使ったプグラミングについて、実際に手を動かしながら確認してみます。回路は、今まで使用してきたタイマーをそのまま使います。
今まで作成してきたプログラムでは、例えばマイコンの動作周波数設定やピンの入出力設定は、自分でデータシートを確認してコードを書いてきました。また、ADコンバータやPWMの機能を使う場合、同様にデータシートを確認して、マイコンのいろいろなレジスタを操作するコードを書いてきました。
MCCを使用すると、GUIメニューで設定を行うことにより、動作周波数の設定やピンの入出力設定などのコードを自動生成してくれます。また、ADコンバータなどの機能を使用する場合、1つの関数だけでADコンバータの結果を得ることができるようになります。
ただ、コードを自動生成してくれるのはいいですが、自動生成したコードでどのような機能が提供されているのか、何をしてくるのかはある程度自動生成されたコードを理解する必要があります。
なんて説明をしましたが、こんな説明では結局どのようなコードを自動生成してくれるのか、さっぱりわかりませんよね。そこで、MCCを使って簡単なプログラムを作成しながら使い方を確認していきたい思います。
作成するプログラムですが、タイマー回路をそのまま使用して、RA2ピン(5番ピン)に接続している2つのスイッチ状態をADコンバータで読み取り、片方のスイッチが押されたらLEDを点灯、もう片方のスイッチが押されたらLEDを消灯、というプログラムを作成してみます。
MCCの補足
MCCはMPLABX IDEのデフォルト機能ではありません。そのためMPABXをインストールしたままの状態ではMCC機能は使用できません。
MPLABX IDEはプラングイン機能があり、プラグインモジュールを追加インストールすることによりMPLABX IDEの機能を追加することができます。
MCCはプラグインモジュールとして提供されているため、使用する場合はMCCプラグインモジュールを追加インストールする必要があります。そこで、プログラム作成の説明の前に、MCCの追加インストール手順を説明します。
また、このMCCプラグインですが、Windows版MPLABXでは問題なく動作することを確認していますが、Mac版ではハングすることが多いです(2017年12月時点)。そのためMac版を使用する場合、作業内容をこまめに保存することをお勧めします。
MCCインストール
プラグインモジュールのインストールはMPLABX IDE上で行います。それでは、最初にMPLABX IDEを立ち上げましょう。
アプリが立ち上がったら、「Tools」メニューから「Plugins」を選択します。
Pluginを管理するダイアログが表示されますので、以下のようにAvailable Pluginsタブを表示し、リストの中からMPLAB Code Configiratorの左側にあるチェックボックスをクリックして選択、Installボタンをクリックします。
クリックするとインストールされます。インストール後、MPLABX IDEを再起動するかの確認がありますので、再起動をします。MCCインストール後、MPLABX IDEの初回立ち上げの際、モジュールがインストールされるため多少時間がかかります。
MPLABX IDEが立ち上がると、MPLABX IDEウインドウのツールボタンがあるところに「MCC」という名前のアイコンが追加になっているはずです。見つからないようでしたらウインドウを大きくして全てのアイコンが表示されるようにすると表示されると思います。
MCCを使用する場合、使用するブロジェクトをMain Projectにした状態でこのMCCアイコンをクリックします。この後、実際に新規プロジェクトを作成して、MCCによりプログラム作成を行います。
MCC確認用新規プロジェクトの作成
MCCを使用してプログラムを作成する手順を確認するために、新規プロジェクトを作成します。新規プロジェクトの作成は通常のプログラム作成と同じになりますが、念のため手順を説明します。
MPLABX IDEの「File」メニューから「New Projects…」を選択します。プロジェクトウイザードダイアログが表示されますので、最初の画面で「Microchip Embedded」の「Standalone Project」を選択します。
次にマイコンを選択します。Device欄に「pic12f1822」と入力します。
次の画面はそのままにして「Next>」ボタンで進めます。
次の画面では「PICKit」を選択します。
コンパイラは「XC8」を選択します。
Project Nameに適当な名前(ここでは「MCCTest」としました)を入力、「Set as main project」にチェックが付いていることを確認し、Encodingは「UTF-8」を選択します。
その後、「Finish」ボタンをクリックすると新規プロジェクトが作成されます。
これで準備ができました。
通常ですと、この後main.cファイルを新規作成し、そのファイルにプログラムを作成しますが、MCCを使用する場合は、この後MCCを呼び出してmain.cを含むプログラムファイルを自動生成することになります。
なお、MCCにより自動生成したプログラムと比較するために、次回は手書きプログラムを作成します。
更新履歴
日付 | 内容 |
---|---|
2017.12.5 | 新規投稿 |
2018.12.2 | スクリーンショットをMPLABX IDE v5.10に変更 |