今回はADコンバータ機能を利用したプログラムを完成させます。
ADコンバータプログラムまとめ
ちょっとしつこいですが…
ADコンバータ機能を利用するための必要なことをもう一度確認しておきましょう。
- ADコンバータを利用するピンを「アナログ入力」に設定
- ADコンバータ機能設定
- ADコンバータで電圧値読み取り
今回はアナログ入力ピンを5番ピンにしましたので、(1)ではANSELAレジスタとTRISAレジスタで、5番ピンを「アナログ入力」に設定します。
ANSELA = 0b00000100; // RA2ピンをアナログ、それ以外のピンはデジタルに設定
TRISA = 0b00001100; // RA2とRA3を入力、それ以外は出力に設定
このようにプログラムを書けばOKです。
次に(2)ではADCON0レジスタとADCON1レジスタで、ADコンバータ機能の設定をします。
ADCON0 = 0b00001001; // RA2(AN2)をADコンバータピンに設定し、ADコンバータ機能をEbableにする
ADCON1 = 0b10000000; // 結果数値は右寄せ、ADコンバータクロックはFOSC/2、基準電圧はVDD
これでOKです。
(3)で、実際にADコンバータ機能を使ってアナログ値を読み取る場合は、
GO = 1;
でADコンバータの読み取り処理が開始されます。読み取りが終わるとこの「GO」レジスタが0になりますので、
while( GO ) ;
で処理を待ちます。このwhile文を抜けると、結果は「ADRES」レジスタ(16-bit)に入っていますので、この数値に応じた処理をします。
アナログ値の判定方法
ADコンバータで読み取った10-bit、つまり0〜1023の値は16-bitレジスタADRESに右詰で格納されています。
今回ピンに接続したスイッチの回路は、一つのスイッチを押すと0V、もう一つのスイッチを押すと電源電圧の半分になるようにしました。スイッチを押していない時は電源で暑になります。
ということは、0Vになるスイッチを押すと、ADRESの値は「0」、電源電圧の半分になるスイッチを押すと「511」か「512」、スイッチを押していない時は「1023」っていう判定でいいのでしょうか。
実は、ADRESの値をこのように判定するとうまく動きません。
というのは、回路にはいろいろな要因があり、スイッチを押したり離したりしても、きっちり0V、電源電圧の半分、電源電圧になりません。
例えば、電源電圧の半分にするために同じ抵抗を2本つなげましたが、この2本の抵抗の値はぴったり同じではありません。今回使用している抵抗はプラスマイナス5%の誤差がある抵抗です。そのため、抵抗を2本つなげて電源電圧の半分にしたつもりでも、結構ずれていることがあります。
ということで、0〜1023の値をどのように判別するかというと、以下のようにスイッチOFF、スイッチ(黒=0V)をON、スイッチ(白=電源電圧の半分)をONの3ブロックで分けて判定することにします。
ADRESレジスタの値の判定はこのようにします。
プログラム動作仕様
早速プログラムの動作仕様を考えましょう。
自分のブレッドボードでは、黒と白のスイッチを取り付けました。
なんとなくのイメージですが、黒がマイナス、白がプラスって感じるので、黒がタイマー時間を減らすスイッチ、白が増やすスイッチにします。
動作確認のために、タイマー時間の単位は秒として、デフォルト5秒、黒のスイッチを押すとマイナス1秒、白のスイッチを押すとプラス1秒というプログラム動作仕様にしたいと思います。
基本的な考え方は、上のセクションで説明したADコンバータ機能を利用する場合の設定をプログラムに追加、スタートスイッチが押されるまでのループ、
while( RA3 ) ;
このループの中で5番ピンのアナログ値を読み取って、タイマー時間の増減処理をするようにします。
ただ、スイッチを押してタイマー時間を増減したら、無反応だと実際に処理されたかわかりませんので、LEDの点滅回数でタイマー時間を表現したいと思います。
電源投入直後はLEDを点灯状態にしていますので、以下のように点滅パターンでタイマー時間を表現してみます。
ということで、プログラムの仕様を決めましたので、あとはこの通りにプログラムするだけです。(だけです、なんて書きましたが、自分でサンプルプログラムを作るときは一発で動作せず、バグ取りが必要でしたが…)
プログラム
ここまで説明した動作仕様のプログラムです。特に解説はいらないと思いますが、わからないところなどありましたら、コメント欄かお問い合わせフォームでご連絡いただければと思います。
/* * File: main.c * 変更履歴 * 2016.11.20: スイッチ制御部分を追加 * 2016.12.05: 時間計測とブザー制御部分を追加 * 2017.01.15: 設定時間が来たらLEDをPWM制御に変更 * 2017.07.30: 時間設定ボタン処理を追加 */ #include <xc.h> // PIC12F1822 Configuration Bit Settings // CONFIG1 #pragma config FOSC = INTOSC // Oscillator Selection (INTOSC oscillator: I/O function on CLKIN pin) #pragma config WDTE = OFF // Watchdog Timer Enable (WDT disabled) #pragma config PWRTE = OFF // Power-up Timer Enable (PWRT disabled) #pragma config MCLRE = OFF // MCLR Pin Function Select (MCLR/VPP pin function is digital input) #pragma config CP = OFF // Flash Program Memory Code Protection (Program memory code protection is disabled) #pragma config CPD = OFF // Data Memory Code Protection (Data memory code protection is disabled) #pragma config BOREN = ON // Brown-out Reset Enable (Brown-out Reset enabled) #pragma config CLKOUTEN = OFF // Clock Out Enable (CLKOUT function is disabled. I/O or oscillator function on the CLKOUT pin) #pragma config IESO = OFF // Internal/External Switchover (Internal/External Switchover mode is disabled) #pragma config FCMEN = OFF // Fail-Safe Clock Monitor Enable (Fail-Safe Clock Monitor is disabled) // CONFIG2 #pragma config WRT = OFF // Flash Memory Self-Write Protection (Write protection off) #pragma config PLLEN = OFF // PLL Enable (4x PLL disabled) #pragma config STVREN = OFF // Stack Overflow/Underflow Reset Enable (Stack Overflow or Underflow will not cause a Reset) #pragma config BORV = LO // Brown-out Reset Voltage Selection (Brown-out Reset Voltage (Vbor), low trip point selected.) #pragma config LVP = OFF // Low-Voltage Programming Enable (High-voltage on MCLR/VPP must be used for programming) // クロック周波数指定 // __delay_ms()関数が使用する #define _XTAL_FREQ 1000000 void main(void) { // PICマイコン設定 OSCCON = 0b01011010; // 内部クロック周波数を1MHzに設定 ANSELA = 0b00000100; // RA2ピンをアナログ、それ以外のピンはデジタルに設定 TRISA = 0b00001100; // RA2とRA3を入力、それ以外は出力に設定 // ADコンバータ設定 ADCON0 = 0b00001001; // RA2(AN2)をADコンバータピンに設定し、ADコンバータ機能をEbableにする ADCON1 = 0b10000000; // 結果数値は右寄せ、ADコンバータクロックはFOSC/2、基準電圧はVDD // 変数宣言 unsigned short timer; // 時間計測 unsigned short duty; // PWMのデューティーサイクル unsigned short i; // for文で使う変数 // LEDを点灯する LATA5 = 1; // ブザーをOFFにする LATA4 = 0; // タイマー時間変数 // デフォルトは5秒 unsigned short timerValue = 5; // スイッチが押されたらタイマースタートする // タイマースタート前にタイマー時間設定ボタンが押されたらその処理を行う while(RA3){ // ADコンバータ読み取り開始 GO = 1; // 読み取り完了待ち while(GO); // 読み取りが終わると結果の数値はADRESレジスタに入っている // ADRESの数値に応じてタイマー時間の増減を行う // // タイマー時間を減らすスイッチの処理 // (ADコンバート値が250未満の場合) if( ADRES < 250 ) { // タイマー時間を減らす timerValue--; // タイマー時間をLEDの点滅回数で表現する // // いったんLEDを消して、 RA5 = 0; __delay_ms(500); // 設定時間分LEDを点滅して、 for(i=0; i<timerValue; i++) { RA5 = 0; __delay_ms(200); RA5 = 1; __delay_ms(200); } // ちょっとの間LEDを消して、 RA5 = 0; __delay_ms(800); // LEDを点灯する RA5 = 1; } else { // タイマー時間を増やすスイッチの処理 // (ADコンバート値が250以上750未満) if( 250 <= ADRES && ADRES < 750 ) { // タイマー時間を増やす timerValue++; // タイマー時間をLEDの点滅回数で表現する // 点滅制御方法は減らす場合と同じ RA5 = 0; __delay_ms(800); for(i=0; i<timerValue; i++) { RA5 = 0; __delay_ms(200); RA5 = 1; __delay_ms(200); } RA5 = 0; __delay_ms(800); RA5 = 1; } } } // タイマー計測開始 // // LED点滅処理 for(timer=0; timer<timerValue; timer++){ // LEDを950ms消灯する LATA5 = 0; __delay_ms(950); // LEDを50ms点灯する LATA5 = 1; __delay_ms(50); } // ブザーをONにする LATA4 = 1; // LEDをPWM制御してスムーズな点滅制御をする // PWM機能のピン割り当て設定 APFCONbits.CCP1SEL = 1; // PWM機能をRA5ピンに設定 CCP1CONbits.CCP1M = 0b1100; // PWM機能を有効、active-highに設定 CCP1CONbits.P1M = 0b00; // RA2ピンはGPIOに設定 // 周期(1ms)とデューティーサイクル(0.5ms)の設定 T2CONbits.T2CKPS = 0b00; // プリスケーラを1:1に設定 PR2 = 249; // 周期を1msに設定 (249 + 1) x 4 x 1us = 1000us = 1ms CCPR1L = 500/4; // デューティーサイクルを0.5msに設定 CCP1CONbits.DC1B = 500; // PWM制御スタート T2CONbits.TMR2ON = 1; // LEDをPWM制御 // デューテー比は10%〜100%の制御にする while(1) { // 5% -> 100%の制御 for(duty=50; duty<=1000; duty++) { CCPR1L = duty / 4; // 上位8ビット CCP1CONbits.DC1B = duty; // 下位2ビット __delay_ms(1); } // 100% -> 5%の制御 for(duty=1000; duty>=50; duty--) { CCPR1L = duty / 4; // 上位8ビット CCP1CONbits.DC1B = duty; // 下位2ビット __delay_ms(1); } } // 以下の命令は実行されない return; }
更新履歴
日付 | 内容 |
---|---|
2017.7.29 | 新規投稿 |
2018.12.2 | プログラムテンプレートをMAPABX IDE v5.10のものに変更 |