実践編で必要な道具や電子部品、その他部材のリストを作成します。
買い物リストの説明の進め方
第2回〜第4回の記事で、実践編で使用する道具や電子部品のリストを作成します。リストは以下のように大きく4ジャンルに分けました。
- ハンダ付け道具関連
- ハンダ付け練習部材
- 電子部品類
- ツール類
これから、ジャンルごとに道具や部材の説明をして、買い物リストを作成します。すでにお持ちのものを確認いただき、必要なものを揃えていただければと思います。
なお、ハンダ付けは難しくて無理そう、という場合は、こちらで代行いたします。第1回の記事でも書きましたが、ご希望の場合、このサイトのお問い合わせページからご連絡ください。部品代と送料をご負担いただければと思います。また、部品を購入後にハンダ付け代行を頼みたい、という場合は、部品をお送りいただければ折り返しハンダ付けした部品をお送りいたします。その場合も送料をご負担いただければと思います。
1. ハンダ付け道具関連
最初はハンダ付けに関連する道具です。
ハンダこて
電子工作に興味があれば、一度は「ハンダ付け」という言葉は聞いたことがあるかもしれません。
ハンダ付けは以下のような作業です。
ハンダ付けは「ハンダ」と呼ばれている針金状の合金を、「ハンダこて」を使って熱して溶かして接合し、電子部品などを電気的に接続するものです。
なお、ハンダこては電子工作だけでなく、例えば手づくりのステンドグラスや、木材などを焦がして文字や絵を描くウッドバーニング、金属のアクセサリ、鉄道模型などの造形物を作ったりと、いろいろな場面で使われます。興味があればネットなどで調べてみてください。趣味の範囲が広がるかもしれません。
このハンダこてですが、100円ショップでも数百円で売られています。できれば安く済ませたいところですが、電子工作で使う場合はなるべく温度調整機能のついたハンダこてを使用することをお勧めします。温度調整機能がないハンダこての場合、ハンダこての温度が非常に高くなります。その結果、電子部品やハンダを熱しすぎてしまうことにより、ハンダ付けがうまくいかなかったり、電子部品を壊してしまう可能性があるためです。
そこで、少々価格が高くなりますが、以下のような温度調整機能付きハンダこてをお勧めします。
これは白光社製の「FX-600-02」という製品で、4,000円程度で入手できます(2018年3月時点)。他にも温度調整機能付きのハンダこてがありますが、日本製はだいたい4,000円程度、中国製は1,500円程度です。通販サイトで探すと何種類か見つかりますので、レビューなども確認して選んでみてください。
なお、FX-600には枝番として01と02があります。違いはコンセントプラグの形状で、通常の家庭にあるコンセントで使用する場合は02を購入します。01は接地プラグですので、アース付きのコンセントか変換プラグが必要になります。
こて先
次に、これはできればで構いませんが、以下のようにハンダこての先の部分が交換できるタイプの場合、「こて先」と呼ばれている部分も追加で一緒に購入することをお勧めします。
ハンダこてを購入した時に標準でついているこて先は、以下のように先の丸まった鉛筆のような形をしています。
このような鉛筆型のこて先は「B型」と呼ばれています。B型のこて先でも特に問題はありませんが、他に以下のように先が斜めにカットしてあるタイプのこて先を用意しておくと、ハンダ付けがやりやすくなります。
このようなこて先は「C型」または「BC型」と呼ばれています。
ハンダ付け作業では、ハンダ付けをする部分を十分に熱する必要があります。この熱する作業は、標準のB型のこて先よりもC型/BC型の方が、ハンダ付けをする部分に接する面が大きくなるため、熱しやすく、結果としてハンダ付け作業がやりやすくなります。ハンダこてとしてFX-600を選んだ場合、交換用のこて先は「T18-2C」が使いやすいと思います。他のメーカーの場合は、こて先直径が2mm程度のC型またはBC型を選ぶとよいでしょう。なお、交換用のこて先は400円〜700円程度で入手できます。
ハンダ
次にハンダですが、「材料」と「太さ」が異なる多くの種類があります。
材料としては「無鉛」や「鉛フリー」と呼ばれている「鉛」が入っていないものを購入します。以前は鉛が入っていたものが一般的でしたが、今は環境保護の観点から鉛が入っていない製品が一般的になってきています。
太さは、0.6mmか0.8mmのものを購入するとよいでしょう。
このシリーズでは0.8mmの無鉛ハンダを使用します。価格は長さにより異なりますが、最初は3m〜5m程度あれば十分です。以下のものは無鉛、0.8mm、約5mで280円です。
ところで「はんだ付け検定」というものがあるのをご存知でしょうか。
この検定は3級〜1級がありますが、無鉛ハンダは上位級である2級と1級で使用されていて、3級は鉛入りハンダ(共晶ハンダとも呼ばれています)が使用されています。3級の検定で鉛入りハンダが使用されているのは、鉛入りハンダの方が無鉛ハンダよりハンダ付けが容易なためです。
具体的には、鉛入りハンダは、無鉛ハンダより融点(溶ける温度)が低いため、無鉛ハンダほど熱する必要はありません。感覚としては、鉛入りハンダはサッと溶ける感じですが、無鉛ハンダはハンダこての当て方(熱し方)が悪いとなかなか溶けず、溶けたハンダもすぐに広がらない感じがします。
このように鉛フリーハンダはちょっと難しいところがありますので、本番の部品をハンダ付けする前に、ハンダ付けの練習をすることにします。
こて台
ハンダ付け作業をしている間、ハンダこては非常に熱くなりますので(350〜370度程度)、ハンダこてを置いておく台が必要です。価格は非常にバラツキがありますが、なるべくしっかりしたものを購入するようにしてください。
一番安いタイプは以下のようなもので、200〜300円程度です。
ただ、このようなこて台は軽いため、ハンダこてのコードにちょっと触れるだけで、ハンダこて本体がずれて落ちたりするため作業する際には十分注意が必要です。そのため、なるべく以下のような重さがあり、しっかりしたこて台をお勧めします。
左: 白光社 こて台 FH300-81 (700円程度/2018年3月時点)
右: 白光社 こて台 633-01 (実売価格1,700円程度/2020年3月時点)
これらのこて台は以下のように使用します。
お気付きかもしれませんが、いずれのこて台にもスポンジのようなものがついています。これはハンダ付け作業中に、こて先についたハンダを落として、こて先をきれいにするためのものです。こて先クリーナーと呼ばれていますが、これには以下のように2種類あります。
スポンジタイプのクリーナーは、水を含ませておき、こて先を拭うようにしてきれいにします。
金属タイプのクリーナーは、こて先を、クリーナーに何回か差し込むことにより、こて先についたハンダを落とします。
いずれでも特に問題ありませんが、スポンジタイプは水を使うため、こて先を拭った時にこて先温度がちょっと下がってしまいます。こて先は温度を一定に保って方がハンダ付け作業はやりやすくなります。
その点、金属タイプのクリーナーは水を使いませんので、こて先をクリーニングしても温度が下がりません。また、こて先の急な温度の変化がないため、こて先がより長持ちします。
ヒートクリップ
ヒートクリップとはこのようなものです。
実践編で使用する部品のハンダ付けではこの部品は必要ありませんが、今後のためにこの部品の使い方を確認しておこうと思います。練習基板でハンダ付けをする際、この部品を使って練習をしてみます。
あとで練習するのはいいとして、この部品、何目的なんでしょうか。
一般的な抵抗などは熱に強いため、ハンダこてで多少長い時間熱してしまってもほとんど壊れることはありません(とはいっても、熱しすぎはよくありませんが)。
一方でLEDなどの半導体を使っている部品は熱に弱いため、ハンダこての使い方(設定温度や熱している時間)によってはLEDを壊してしまう可能性があります。
そこで、この「ヒートクリップ」という部品で、以下のようにLEDのリード線を挟んでハンダ付けを行います。
このようにハンダ付けを行うと、LEDのリード線から伝わってきた熱がヒートクリップにも伝わるため、LED本体への熱の伝わりが少なくなり、壊れる可能性が低くなります。価格は100円〜200円程度です。
ハンダ吸い取り線
間違った部品をハンダ付けしてしまった場合など、修正をしたい場合がでてきます。修正する場合、ハンダを除去する必要がありますが、除去する際に以下のようなハンダ吸い取り線と呼ばれているものを使用します。
使い方は、ハンダを除去したい部分にこの吸い取り線をおき、上からハンダこてで熱すると、溶けたハンダがこの吸い取り線に吸い取られます。ハンダ付けの練習の時に、一度使ってみたいと思います。
作業用シート
ハンダこては300度以上に熱くなりますし、ハンダ付けした部品もかなり熱くなります。そのため、普段使用している机などで作業をすると、だいたいどこかを焦がして変な模様をつけたりします。そのような場所でハンダ付けする場合は、何か適当な作業シートを使うようにしましょう。
「適当な」なんて言われても困りますよね。一般的には、作業用シリコンシートや帯電防止マットというものが販売されていますが、いずれも1000円程度してしまいます。そこでお勧めは、100円ショップに行くと、オーブンでケーキを焼くとき使用するシリコン製のケーキ型が200円〜300円で売られていますので、四角型を入手して底面部分を切って使用するのがいいと思います。ケーキを焼くためのものですので、耐熱は230度程度ありますし、滑らないので作業しやすいと思います。
このようなことを説明していながら申し訳ないのですが、自分の場合は、作業シートは使わないで、綺麗に使うことを諦めているテーブルや台の上などで作業しています。
なお、作業シートを用意する場合、燃えやすい紙製のものや、燃やすと有毒ガスが発生するプラスチック系のものは避けるようにしましょう。
きちんとしたものであれば、以下のような作業マットが適しています。価格はちょっと高く800円程度です。
基板を支える台
ハンダ付けの練習では、以下のように基板にLEDをハンダ付けします。
このように、背の高い部品を基板にハンダ付けする場合、この画像のように基板が安定しませんので、何か基板を支える台があった方が作業がしやすくなります。
自分の場合は、100円ショップで5〜10mm厚ぐらいの木材やMDF材を買ってきて何枚か重ねたりして使っています。
これは、以下のようなMDF材を3枚重ねて、幅が広めの輪ゴムで端を留めたものです。ゴムを巻くことによって台も基板も滑りにくくなるため作業しやすいと思います。なお、ゴムや木材にハンダこてを当てないように注意します。
新しく何か買うのはもったいないので、家にあるもので何か使えそうなものを見つけてみてください。
なおハンダ付け作業用に、以下のような基板を挟むクリップとルーペがついた道具が販売されています。
この製品は、基板をクリップで挟み、ルーペで拡大しながらハンダ付け作業ができるツールです。似たような製品が多く販売されていますが、クリップの押さえが弱い製品が多いため、この製品を購入する場合はユーザレビューなどを十分に確認してから購入するようにしてください。クリップの押さえが弱いと、ハンダこてを当てた時に基板がずれてしまい、ハンダ付けがかなりやりづらくなります。
ハンダ付け道具関連の買い物リスト
今までの内容をリストにまとめます。代用できるものがあれば、それを使うようにしましょう。
アイテム | 参考品 | 参考入手先 | 参考品価格 |
---|---|---|---|
ハンダこて | FX-600-02 (白光社) | amazon | 3,780円 |
C型こて先 | T18-C2 (白光社) | amazon | 388円 |
こて台 (こて先クリーナー付き) |
FH300-81 (白光社) | amazon | 688円 |
鉛フリーハンダ | SD-52 (大洋電機産業) | 秋月電子通商 (通販コード: T-06869) |
280円 |
ヒートクリップ | H-1S (大洋電機産業) | 秋月電子通商 (通販コード: T-06290) |
100円 |
ハンダ吸い取り線 | CP-2015 (大洋電機産業) | amazon | 200円 |
作業シート(必要があれば) | 卓上マットF-310-S (HOZAN) シリコン製ケーキ型 |
amazon 100円ショップ |
842円 200円〜300円 |
基板を支えるもの | 木材の切れ端など クリップとルーペがついた専用台もあり |
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更新履歴
日付 | 内容 |
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2018.3.10 | 新規投稿 |
2020.3.7 | 商品リンク切れ修正 |