PICkitについて説明します。
購入先
秋葉原の電子部品などを売っている店舗に行けば購入できますが、簡単に行けない方は通販を利用できます。主要な電子部品の通販サイトをリストいたします。
プログラムをPICマイコンに書き込むための道具
MacやWindowsで開発したプログラムは、PICマイコン用に変換(ビルドと呼びます)したあと、PICマイコンに書き込む必要があります。このブログラムを書き込むために使用するツールが「PICKit」と呼ばれているものです。
このPICkitですが、2019年5月時点で「PICkit3」「PICkit4」「MPLAB SNAP」という3種類の製品が販売されています。「PICkit4」はその名の通り「PICkit3」の後継機種で機能がアップしています。「PICKit3」との価格差はそれほどありませんので、これから購入される場合は「PICkit4」をお勧めします。
また「MPLAB SNAP」は入門用のツールで、機能に若干制約があります。ただ価格がPICkit3やPICkit4に比べてかなり安いので、予算を抑えたい場合は「MPLAB SNAP」を購入を検討してみてください。このPICマイコン電子工作入門シリーズでは基礎編、応用編、実践編とも「MPLAB SNAP」は問題なく使用できます。
「MPLAB SNAPでは機能に若干制限」というとどの程度の制限か気になると思います。そこで主な制限を以下に説明します。
- 非対応のPICマイコンがある
PICマイコンは非常に多くの種類があります。例えば秋月電子通商では約260種類のPICマイコンが販売されています(http://akizukidenshi.com/catalog/c/cpicr/)。PICkit3やPICkit4はほとんどのPICマイコンに対応していますが、MPLAB SNAPは非対応のものがあります。非対応のPICマイコンがどのぐらいあるか確認する方法は、第16回の記事の最後のセクションで解説します。
もし将来的にネットや書籍などの製作例などを参考にいろいろなものを作ってみたいという場合、その製作例で使用しているPICマイコンがMPLAB SNAPで非対応の場合、他のPICマイコンに置き換える必要が出てきてしまいます。PICマイコンの置き換えは結構大変ですので、このような場合はPICkit4をお勧めします。 - プログラム書き込み時に別電源が必要
この内容は第17回の記事で詳しく説明するので、この段階ではわかりづらいかもしれません。詳しく確認したい場合は第17回の記事を確認してみてください。ここでは概要を説明します。
PICマイコンにプログラムを書き込む場合、組み立てた回路にPICkitを接続します。PICkit3とPICkit4は接続すれば書き込みできるのですが、MPLAB SNAPの場合、組み立てた回路に電源を接続する必要もあります。
組み立てた回路は電池などの電源で動作させるため、結局は電源を接続することになります。そのため、この制約は問題ではありませんが、組み立てた回路にMPLAB SNAPを接続した上で電源も接続する、というのが状況によって面倒に感じるだけですので、本質的な問題ではありません。 - USBケーブルが付属していない
PICkit3とPICkit4はPCと接続するためのUSBケーブルが付属しています。一方、MPLAB SNAPはUSBケーブルは付属していませんので別途用意する必要があります。このUSBケーブルは、特殊なものではありませんので、手持ちのUSBケーブルがあればそれを利用できます。USBケーブルは、TypeA – microBのタイプです。Android系のスマホを使っていればこのタイプのUSBケーブルをお持ちだと思います。
MPLAB SNAPはかなり低価格ですので、かなり魅力的です。MPLAB SNAPを選ぶポイントは、やはり非対応PICマイコンが自分の許容範囲かどうか、という点につきます。秋月電子通商で取り扱っているPICマイコンの中にも非対応のものがありますので、今後PICマイコンをいろいろ使っていきたい、という場合はPICkit4を選ぶとよいでしょう。逆に、電子工作を体験したいだけ、ということでしたらMPLAB SNAPはちょうどいいと思います。
以下に、PICkit3、PICkit4、MPLAB SNAPの主な機能をまとめます。
項目 | PICkit3 | PICkit4 | MPLAB SNAP |
---|---|---|---|
プログラム書き込み速度 | カタログ情報なし | PICkit3の最大5倍(カタログ値) | カタログ情報なし |
PICkit側コネクタ | USB miniA | USB microB | USB microB |
PICkitからPICマイコンへの 供給電流上限 |
30mA | 50mA | 電源供給なし |
ピン数 | 6ピン | 8ピン | 8ピン |
付属品 | USBケーブル | USBケーブル | なし |
なお、PICkit4はリリースされてからそれほど時間が経っていないため、バグや非対応マイコンがPICkit3に比べると若干あります。ただ、PICkitはソフトウエアで機能アップデートされていきますので、これからどんどん改善されていきます。これからPICマイコンを始められる方はPICkit4をお勧めします。
PICkit4の外観です。値段は、2020年1月時点で5,700円(秋月電子通商)です。
以下はPICkit3の外観です。値段は、2020年1月時点で5,000円(秋月電子通商)です。
以下はMPLAB SNAPの外観です。値段は、2020年1月時点で1,740円(秋月電子通商)です。
今回購入するものの中で一番高いツールですが、1度購入しておけば、他のPICマイコンで何か作るときにも使えますし、デバッグすることもできます。値段は変動しますので、購入する場合は何店舗かの販売価格を調べてみてください。
変更履歴
日付 | 変更内容 |
---|---|
2013.1.6 | 初版 |
2020.1.18 | PICkit情報更新 |