はじめに
「コンバーター」という言葉を聞いたことがある人は多いかもしれません。電子工作をする人はもちろん、学生のときの技術科の時間になんとなく耳にしたことがあるという人もいるでしょう。今回は私たちの生活に欠かせない「コンバータ」の現在地と未来を考えていきましょう。
コンバーターとは -その概要と種類-
「コンバータ」とは一般に交流(AC)から直流(DC)への周波数変換器のことを指します。一方で「インバータ」というと逆に直流(DC)から交流(AC)への変換器のことをいいます。
交流はいわゆるコンセントから供給される電気と考えてよいでしょう。電化製品のなかの半導体部品は直流でしか動けないものがほとんどですので、ここには交流(AC)を直流(DC)にする「AC/DCコンバータ」が必要になります。
こう考えてみると意外に「コンバータ」が身近で、私たちの普段の生活の中で欠かせないものだということが理解できるでしょう。
コンバータにはいくつか種類があります。AC/DCコンバータだけではすべてに対応できないためです。
具体的には、電化製品はそれぞれ固有の動作電源範囲があります。そのため、モノ側の個々の電圧要求に合わせて「AC/DCコンバータ」のあとに直流-直流コンバータをはさみ、電圧の調整をします。
このとき使われるのが「直流(DC)-直流(DC)コンバータ」です。(詳細はアールエスコンポーネンツから)
(引用:ROHM)
人々の「暮らし」を支えたコンバーターの歴史
振り返るとコンバータの日本における歴史は古く、時は戦後1945年ごろにさかのぼります。今は多角化事業を行い、世界的なテクノロジー会社となった「SONY」が、当時戦争で壊れたり、敵の放送を聞けないようにと短波を切られたりしたラジオを改良するために、世に出したのがコンバータ(周波数変換器)でした。
当時、人々にとっての重要な情報源はラジオでした。そのため、SONYのビジネスのはじめての大きな成功となったのが、このコンバーターの発売だったのです。
そこから、今やデジタル機器、電化製品には欠かせない部品なり一般的に利用されるようになったのです。
電気自動車の要?コンバータのこれから
環境配慮への声が高まる中、電気自動車は今後ますます身近な存在になることが考えられます。この電気自動車への電気供給にもコンバータが必須です。
自動車のバッテリーに充電するためには、交流電源を直流に変えなければなりません。下の図からも分かるように電気自動車ではDC-DCコンバータが必要です。これは従来のエンジン車には不要だった構造です。
(引用:EVsmart)
また電気自動車のバッテリー開発には、エネルギー効率の要求に応じて複雑な構造を考える必要があります。そこで、研究開発プロセスの短縮のため近年話題の「量子コンピュータ」を活用することも検討が進められています。
例えば、自動車のフォルクスワーゲンは量子コンピューティングを用いて複雑な分子構造のモデリングを実装し、電気自動車のバッテリー開発を進めているとのこと。
今後、研究開発が加速する中でコンバータの変換効率、そこから取得できるデータなどがさらなる改良につながると考えられています。
最新テクノロジーを搭載して開発される電気自動車。コンバータの活躍からも目が離せません。