今回は練習基板で実際にハンダ付けを行います。
ハンダ付け作業の注意点
これからハンダ付け作業を始めますが、2点注意があります。
1つ目は、ハンダこては非常に熱くなりますので、火傷には十分注意してください。ハンダこての設定温度は最初370度にします。指でちょっと触れただけでもかなり熱いです。十分注意してください。
2つ目は、換気のよい場所で作業を行なってください。ハンダを溶かす時に煙が出ます。この煙はずっと吸い続けると人やペットによくありません。締め切った部屋で作業すると煙がこもってしまいますので、なるべく換気のいい場所で行なってください。冷暖房を入れているときは窓を開けることは難しいと思いますが、キッチンやバスルームの換気扇をつけておくだけでも、外の空気が家の中に入ってきます。換気に注意するようにしてください。
道具の準備
ハンダこての電源を入れて作業に入る前に、事前の準備しておきます。
ハンダこては電源を入れると、こて先が非常に熱くなります。その状態で他の作業をすると火傷する危険があります。また、こて先は金属ですので、熱した状態にしておくと酸化が進み、劣化が早く進んでしまいます。そのため、ハンダ付け作業をする前に、必要な準備をしておくようにしましょう。
作業に入る前に、以下の事前準備をしておきます。
- 電線などはあらかじめ加工しておく
練習基板では、基礎編・応用編でブレッドボード回路を製作するときに使用した電線(単芯0.65mm)を使用します。最初にユニバーサル基板に合わせて、電線を加工しておきます。次のセクションで一緒に準備しましょう。 - 部品をまとめておく
ハンダ付けする部品を小さいトレーなどにまとめて入れておくと、ハンダ付け作業の時に部品を探す手間が省けます。
それでは事前準備から始めます。
事前準備
ターミナルブロック、抵抗、LEDはそのままユニバーサル基板の穴に差し込んで裏面をハンダ付けしますが、電線は加工が必要です。事前準備として電線を加工します。
ユニバーサル基板で線で接続する部分は以下の4箇所です。
電線は何色でも構いませんので、好きな色の電線をユニバーサル基板の穴の間隔に合うように以下のように加工します。加工の仕方はブレッドボードの配線を作った時と同様です。両端の被覆を5〜7mm程度むいておきます。
準備ができたら、必要な部品を探しやすいようにトレーなどに入れておきましょう。
ハンダ付け順番確認
ハンダ付けの練習は以下の順番で行います。
- 最初のハンダ付け
あとから追加の半田付けを行いますので、最初はLEDを2個接続した回路を製作します。最初に電線をハンダ付け、そのあとに抵抗2本、ターミナルブロック、LED2個の順番でハンダ付けします。ハンダ付けが終わったらLEDの点灯確認をします。ドキドキしますね。 - 追加のハンダ付け
次に、残りの電線、抵抗、LEDをハンダ付けします。すでにLED2個の回路のハンダ付けが終わっている状態ですので、最初に比べて基板が安定しない分、ハンダ付けがやりづらくなります。いろいろと工夫してハンダ付けしてみましょう。 - ハンダ吸い取り線の練習
最後に、ハンダ吸い取り線でハンダ付けした部品を取る作業をしてみます。ちょっともったいないですが、一度電線をハンダ付けして、それを取ってみます。
ハンダ付け練習
いよいよハンダ付けの作業に入ります。
ハンダこての電源を入れる前に、道具と部品を一通り確認します。スポンジクリーナーの場合は水を含ませておくのを忘れないでください。
次にハンダこての設定温度を確認します。最初は、ちょっと高めなのですが370度に設定してみます。FX-600を使用されている場合は、以下のようにダイヤルの矢印か370のところにセットされているか確認します。他のメーカーの場合も、温度調整つまみがありますので、370度付近に合わせます。
無鉛ハンダの場合は350度ぐらいが適温ですが、ちょっと高めから始めてみます。最初は熱しすぎてもまず壊れることのない電線からハンダ付けしますので、温度が高いようでしたら後で調整します。
準備ができたらハンダこてをこて台にセット、ハンダこてのコードをコンセントに差し込みます。FX-600の場合、こて先の温度が設定温度になると、ランプが点滅します。
電線のハンダ付け
それでは最初は一番長い電線のハンダ付けから始めます。ユニバーサル基板に以下のように電線を差し込み、裏側に出た電線をちょっとだけ外側に折ります。これは裏側にしたときに落ちないようにするためです(折らないで手で押さえて基板を裏返しても構いません)。
ユニバーサル基板を裏返し、基板を安定したところに置きます。あとはハンダこてとハンダを持ち、「半田付け部分を熱する」→「ハンダを溶かす」→「ハンダを離したあと、ハンダこてを当てたままにしてハンダを行き渡らせる」というステップでハンダ付けします。
最初はなかなか思うようにハンダ付けができないかもしれません。最初は感覚がわからないので、うまくいかないものです。前回の記事で説明したコツを思い出しながら、富士山型を目指していきましょう!
この時点で、こて先に余分なハンダが付いているかもしれません。その場合は、こて先クリーナーでこて先を拭って余分なハンダを落とします。
次に、以下の2本の電線をハンダ付けします。残りの1本は後で追加しますので、今は2本だけハンダ付けしてください。
抵抗のハンダ付け
電線のハンダ付けが終わったら、次は抵抗を2本ハンダ付け作業に入ります。抵抗は2通りの方法でハンダ付けします。
この2本の抵抗をハンダ付けします。最初に抵抗のリード線をハンダ付けする穴の間隔に合うように曲げておきます。
次に、片方のリード線を基板裏面に沿うように曲げます。
曲げたリード線をハンダ付けできる程度にニッパーで切ります。
抵抗のリード線は片方は短く、片方は長いままにしてみました。この2通りの方法でハンダ付けしてみます。
ハンダ付け作業は、ハンダ付けする部分を十分に熱する必要がありますよね。リード線が長いと、その部分も熱してしまうので、温度上昇の時間はリード線が短い方が短くなります。この違いが感じるか感じないか確認してみてください。ただ、ハンダこての設定温度を高めにしているため、あまり違いは感じないかもしれません…
こんな感じでハンダ付けできましたでしょうか。
なんかちょっと…という気もします。
もう1本の抵抗も好きな方法でハンダ付けしてください。2本の抵抗のハンダ付けが終わったら、余分なリード線をニッパーで切ります。
ターミナルブロックのハンダ付け
次はターミナルブロックです。
ターミナルブロックのように、リード線が多い部品は、最初に1本だけハンダ付けしてハンダ付けの状態を確認するようにします。「ハンダ付けの状態」とはなんのことか、これから説明します。
ターミナルブロックは以下の位置にハンダ付けします。
ターミナルブロックをこの穴に差し込んだ状態では安定しませんので、以下のように安定できるように台などで支えます。
リード線は4本ありますが、どこでも構いませんので1本だけハンダ付けします。1本ハンダ付けが終わったら、以下のようにターミナルブロックが浮いていないか確認してみましょう。
浮いていなければ、そのまま残りの3本のリード線もハンダ付けします。浮いているようでしたら、以下のようにハンダ付けした場所を再度ハンダこてで熱してハンダを溶かします。溶かすとターミナルブロックが動かせますので、正しい位置にセットしたらハンダこてを離します。
このような部品の場合は、2ヶ所ハンダ付けしてしまった後に修正したい場合、2ヶ所のハンダを同時に溶かす必要があります。これはなかなか難しい作業ですので、1ヶ所ハンダ付け後、確認するようにします。
以下のように正しい位置に固定できたら、残りの3本のリード線もハンダ付けします。
LEDのハンダ付け
次はLED2個のハンダ付け作業です。以下の2個のLEDをハンダ付けします。
LEDは熱に弱いので、ヒートクリップを使ってハンダ付けします。ヒートクリップをつけると基板を安定させるがちょっと難しくなりますが、なんとか工夫してハンダ付けしましょう。
LEDのリード線の向きに注意してユニバーサル基板にセットします(長い方のリード線がプラス側です)。セットしたらヒートクリップで挟みます。
あとはうまく基板を安定できるように何かで支えて2本のリード線をハンダ付けします。
ハンダ付けできたら余分なリード線をニッパで切ります。
残りの1個のLEDも同様にハンダ付けします。
点灯テスト
これで2個のLEDは点灯するはず、、、です。
ターミナルブロックに電池ボックスのリード線を差し込みます。リード線のプラスとマイナスに注意してください。ターミナルブロックのオレンジ色のレバーを下に押し込むと、リード線を奥まで差し込むことができますので、奥まで差し込んだらレバーを離し、リード線を固定します。リード線を引っ張っても外れなければ大丈夫です。
以下のようにLEDが2個点灯すればハンダ付けは成功です。
ハンダの形が富士山型でなくても、ちょっと盛りすぎかなという状態でも、点灯すれば大成功です。あとは慣れです。
次回は残りの1組のLEDの回路を追加でハンダ付けします。
更新履歴
日付 | 内容 |
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2018.3.18 | 新規投稿 |