第25回 スイッチ制御プログラムを追加する

今回はスイッチを制御するプログラムを追加します。

今回の説明

回路を完成させるために以下の順序で説明しています。このエントリの説明は(5)「ベース回路にスイッチを追加する」の部分になります。

  1. LEDを電池と抵抗のみで光らせる回路を組み立てる
    PICマイコンの回路を組み立てる前に、まずはブレッドボードに慣れておくことにします。電池、抵抗、LEDのみを使って、ブレッドポード上に回路を組んでLEDを光らせてみます。ここでは電池、抵抗、発光ダイオードの回路記号と回路図の説明をして、回路図からブレッドボードに組む方法を説明します。まずはブレッドボードに慣れましょう!
  2. PICマイコンのベース回路を組む
    はじめの一歩の回路は、LEDを1秒に1回光らせるだけの回路です。この回路をブレッドボードに組み立てます。
  3. プログラムを作る
    LEDを1秒に1回光らせるプログラムを作成します。
  4. PICマイコンに書き込んで動作させる
    作成したプログラムをPICマイコンに書き込んで動作させてみます。
  5. ベース回路にスイッチを追加する
    LEDの点滅をスイッチで開始させるために、ベース回路にスイッチを追加します。これまではLEDを光らせる、という出力制御をしましたが、今度はPICマイコンで外部から信号を入力する方法を確認します。
  6. ベース回路にブザーを追加
    スタートスイッチ付きの、1秒に1回光らせる回路を作りましたので、ブザーを追加してタイマーとして完成させます。

 

ベースプログラム変更概要

LEDの点滅制御プログラムの構成をもう一度確認してみます。

Program structure

このような構成でしたよね。これからスイッチの処理を追加しますが、何をどう直して何をどこに追加すればいいのでしょうか。

最初のコメント部分ですが、これからベースのプログラムを編集していきますので、どのような機能を入れたかメモしておくことにします。

ヘッダファイルインクルード部分は、ピンの状態(スイッチの状態)検知などPIC12F1822の基本的な制御については新しいインクルードファイルは必要ありませんので、この部分は特に変更は必要ありません。

PICマイコンコンフィグレーション設定ですが、こちらも特にPICマイコンの振る舞いを変えませんので、特に変更は必要ありません。例えば、内部クロックから外部クロックに変更するなどの場合は、このコンフィグレーション設定をその変更に合わせて編集する必要があります。

その他設定部分についても特に追加はありません。

ということで、スイッチ制御するにはメイン関数内のプログラム変更となります。それでは次にメイン関数をどのように修正すればよいかざっと把握しておきましょう。

main関数基本構造

このプログラムは前回までに作成したものです。このプログラムに変更を加えていきます。

内部クロックは特に変更しませんのでこのままです。

ピンの設定ですが、ベースのプログラムは全てのピンを「デジタル」に設定しました。また入出力設定については、RA3を入力ピンに、それ以外を出力ピンに設定しました(RA3は入力しか設定できません)。スイッチはRA3ピンに接続しましたので、この設定も変更する必要はありません。

ということで「動作処理」の部分に、スイッチが押されたら点滅を開始する、という処理を追加する必要がありそうです。この動作処理の変更については以下、順を追って詳しく説明します。

 

動作仕様の決定

ベース回路は電源を供給するとすぐに点滅を開始させていました。今回はスイッチをつけて、スイッチが押されたら点滅を開始する、というように変更します。動作仕様は何通りか考えられますが、点滅を開始する前、つまりスイッチが押されるまで待機している時は、LEDを点灯しておきたいと思います。

電源を供給しても、LEDが消灯したままですと、動いているのかよくわからないですよね。ということで点滅を開始するまでは「ちゃんと電源がきていて、プログラムも動いていますよ」ということを示すために、LEDの初期状態は点灯状態にしておこうと思います。その状態でスイッチが押されたら点滅を開始する、という動作仕様にします。

これを図にまとめると以下のようになります。

Pic basic 25 time chart

この図で注意点があります。スイッチはプルアップ抵抗を接続しましたので、スイッチがOFFの場合はRA3ピンは5V、スイッチをONにすると0Vになります。プルアップ抵抗の場合はイメージと逆になりますので注意します。

 

動作処理部分変更

前回までに作成したプログラムでは、電源を入れるとすぐに点滅処理が始まってしまいます。スイッチが押されてから点滅処理を開始するように変更すればよいので、今の点滅処理の前に、スイッチが押されるまで、ひたすら待ち続ける処理を追加すればいいですよね。

スイッチの状態はRA3という変数(レジスタ)に格納されます。RA3ピンが0Vのときは変数のRA3が0に、5V(電源電圧)のときは1がリアルタイムに反映されます。

スイッチはプルアップ抵抗で5Vに接続されていますので、スイッチがOFFのとき、RA3ピンは5Vですので変数のRA3は1になります。またスイッチがONのとき、RA3ピンは0Vですので変数のRA3は0になります。

スイッチが押されるまで何もしない、ということは、変数RA3が1の間は次に進まないでずっと待ち続ける、というプログラムを書けばよいことになります。これは以下のようなプログラムになります。

while(RA3 == 1) {
}

なお、1はtrueを意味しますので、以下のように書き換えることもできますよね。

while(RA3) {
}

while文を忘れてしまった場合はC言語の本を読み返してみてください。

このプログラムをLEDの点滅処理の前に追加すればOKです。

 

完成したプログラム

以下は完成したプログラムです。コメントを入れましたので、処理の流れをよく確認してみてくだい。

なお、最初の作ったプログラムのLEDの点滅制御部分をちょっと変更しました。

理解したらこのプログラムをビルドして書き込み、動作確認してみましょう。一発で動かないこともあるかもしれません。その場合は諦めずに、ひとつひとつ問題がないか確認していきます。どうしてもわからない場合はコメント欄かお問い合わせページからご連絡いただければ、一緒に考えてみたいと思います。

/*
 * File:   main.c
 * 変更履歴
 *    2016.11.20: スイッチ制御部分を追加
 */

#include <xc.h>

// PIC12F1822 Configuration Bit Settings
// CONFIG1
#pragma config FOSC = INTOSC    // Oscillator Selection (INTOSC oscillator: I/O function on CLKIN pin)
#pragma config WDTE = OFF       // Watchdog Timer Enable (WDT disabled)
#pragma config PWRTE = OFF      // Power-up Timer Enable (PWRT disabled)
#pragma config MCLRE = OFF      // MCLR Pin Function Select (MCLR/VPP pin function is digital input)
#pragma config CP = OFF         // Flash Program Memory Code Protection (Program memory code protection is disabled)
#pragma config CPD = OFF        // Data Memory Code Protection (Data memory code protection is disabled)
#pragma config BOREN = ON       // Brown-out Reset Enable (Brown-out Reset enabled)
#pragma config CLKOUTEN = OFF   // Clock Out Enable (CLKOUT function is disabled. I/O or oscillator function on the CLKOUT pin)
#pragma config IESO = OFF       // Internal/External Switchover (Internal/External Switchover mode is disabled)
#pragma config FCMEN = OFF      // Fail-Safe Clock Monitor Enable (Fail-Safe Clock Monitor is disabled)
// CONFIG2
#pragma config WRT = OFF        // Flash Memory Self-Write Protection (Write protection off)
#pragma config PLLEN = OFF      // PLL Enable (4x PLL disabled)
#pragma config STVREN = OFF     // Stack Overflow/Underflow Reset Enable (Stack Overflow or Underflow will not cause a Reset)
#pragma config BORV = LO        // Brown-out Reset Voltage Selection (Brown-out Reset Voltage (Vbor), low trip point selected.)
#pragma config LVP = OFF        // Low-Voltage Programming Enable (High-voltage on MCLR/VPP must be used for programming)


// クロック周波数指定
// __delay_ms()関数が使用する
#define _XTAL_FREQ 1000000

void main(void) {

    // PICマイコン設定
    OSCCON = 0b01011010;  // 内部クロック周波数を1MHzに設定
    ANSELA = 0b00000000;  // すべてのピンをデジタルモードに設定
    TRISA  = 0b00001000;  // すべてのピンを出力モードに設定(ただしRA3ピンは常に入力モード)

    // LEDを点灯する
    LATA5 = 1;

    // スイッチが押されるまで待つ
    while(RA3){
    }
    
    // LED点滅処理(永久に繰り返す)
    while(1){
        // LEDを950ms消灯する
        LATA5 = 0;
        __delay_ms(950);
        // LEDを50ms点灯する
        LATA5 = 1;
        __delay_ms(50);            
    }

    // 以下の命令は実行されない
    return;

}

 

スイッチの扱い

スイッチの処理って思ったより簡単でしたよね。

PICマイコンのピンをデジタル入力にすると、ピンに対応する変数に電圧の状態に応じた値が入っています。また、スイッチを接続する場合、プルダウン抵抗かプルアップ抵抗を接続する必要があることも確認しました。

ということでこれだけの知識でスイッチを扱えるようになった感じがしますが、、、

残念ながらスイッチには根深い問題があります。この根深い問題については基礎編の最後の方か応用編で詳しく説明します。おそらくげんなりすると思いますが、頑張って理解しましょう。

 

疑問

今回までに、PICマイコンのピンを「デジタル出力」に設定した場合、ピンに対応する変数、例えばLATA5に値を代入するとピンの出力電圧を制御することを確認しました。

また、ピンを「デジタル入力」に設定した場合、ピンに対応する変数、例えばRA3の値を確認すると現在のピンの状態がわかりました。

この変数、ちょっと疑問があります。例えば、2番ピンのRA5で考えて見ます。2番ピンを「デジタル出力」に設定した場合、出力電圧を制御するには変数「LATA5」に値を代入することになります。同じ2番ピンを「デジタル入力」に設定した場合、ピンの状態を読み取るには変数「RA5」の値を確認することになります。

出力制御するときは「LATA」という名前で、入力の場合は「RA」という名前を使用していますが、これって統一できないんですかね。例えば、デジタル出力する場合は変数「RA5」に値を代入して、デジタル入力の場合は同じく変数「RA5」を読み取る、という感じです。

実は、今回作成したプログラムは全て「RA」変数を使用しても動作します。例えば、電源投入時に

LATA5 = 1;

としてLEDを点灯させましたが、この部分を

RA5 = 1;

としても動作します。

PICマイコンに関する書籍やサイトのプログラムを見ると、入力も出力も変数「RA」を使っているものがあります。特に問題が発生しない場合はこれで全く問題ありません。

ただ、例えばLEDを複数制御する場合などは、出力制御する場合「RA」を使用すると問題が発生するケースがあります。この問題については、基礎編の最後か応用編で詳しく説明します。

最初は、詳しい説明がないままで申し訳ありませんが、出力制御する場合は変数「LATA」、入力読み取りの場合は変数「RA」を使用する、と覚えておいてくだい。

 

更新履歴

日付 内容
2016.11.20 新規投稿
2018.11.24 プログラムテンプレートをMPLABX IDE v5.10に変更